角田裕毅も好奇の目、メルセデスの超小型サイトポッドは見掛け倒し?それともゲームチェンジャー?
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F1バーレーンテスト初日を迎えた10日(木)のパドックでは、バルセロナ仕様とは根本的に異る超絶タイトなメルセデスのサイドポッドに大きな注目が集まった。フロアやウイングのアップデートも加わって、あまりの違いに「W13B」との呼称も飛び交う。
サイドポッドを極限まで小さくした新スペックのW13は横長のワイドなラジエーター・インレットを持つフェラーリF1-75とは対極的だ。シルバーアローは9連覇に向け、フロア上部の空きスペースを多く確保してダウンフォースを追求するアプローチを採用した。
内部に格納されている補機類のレイアウトが変更されたわけではなく、変わったのは”ガワ”だけだ。チーフエンジニアのアンドリュー・ショブリンは「メカニカル面ではバルセロナと同じで、外側だけが変化した」と説明した。Bスペックというよりは進化形といった方が適切だろう。
興味津々だったのは敵艦視察を欠かさないF1マシンマニアのセバスチャン・ベッテル(アストンマーチン)だけではない。アルファタウリの角田裕毅は「凄い変わりましたよね。かなりクールだと思います」と語った。
「本当に本当にすごく小さいので、あの給気口のサイズで一体どうやってエンジンを冷却するのかイメージがつきません」
「バルセロナではフェラーリほど速くはありませんでしたので、彼らがこのサイドポッドでどれ位のパフォーマンスを引き出してくるのか好奇心をそそられますね」
またチームメイトのピエール・ガスリーは「なかなかに見事だよね! 朝見た時はビックリしたよ」と述べ、F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは「これこそがF1が持つ革新性の素晴らしいところだ」と語った。
他のどのチームとも、そして近年のどのF1マシンとも似つかない独創的なそのデザインに誰もが関心を寄せる中、チーム代表のトト・ウォルフは「コンセプトという観点で我々が達成した事を本当に誇りに思っている」と満足感を隠さなかった。
関心を持たない唯一の例外があるとすれば、それは感想を聞かれて「見苦しいよね!」と冗談を飛ばして質問を終わらせようとしたマックス・フェルスタッペンくらいだろうか。
確かに話題性と魅力に富むサイドポッドだが、賢明なジョージ・ラッセルが指摘した通り、重要なのは見た目ではない。
ラッセルは「多くの人の目に止まった事は明らかだし、そんな革新を推し進めるチームの一員である事を誇りに思う」としながらも「見た目じゃなくてどれだけ速く走れるかが重要だから、それ以上の感想はない」と言い切った。
見掛け倒しなのか?それともゲームチェンジャーになるのか?
胸躍るようなコンセプトを提示する事とタイムシートのトップに立つ事とは全く別の話だが、初日のW13はレッドブルRB18に対してレースペースで3秒近いマージンを稼ぎ、ロングランで誰よりも速いペースを見せつけた。
無論、これは燃料搭載量もプログラムもエンジンモードも分からないテストの1日に過ぎず、先の答えを知るには来週末の開幕戦を待つ他にない。