無線不通のフェルスタッペン、僅差で交わし2連勝!角田裕毅の終盤クラッシュで展開一変 / F1カナダGP《決勝》結果とダイジェスト

レッドブルRB18の上に乗ってガッツポーズを取るマックス・フェルスタッペン、2022年6月19日F1カナダGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

2022シーズンFIA-F1世界選手権第9戦カナダGP決勝レースがモントリオール現地6月19日に行われ、レッドブルのマックス・フェルスタッペンが後続に0.993秒差でポール・トゥ・ウインを果たし、前戦アゼルバイジャンに続く2連勝を飾った。

角田裕毅(アルファタウリ)がピットアウトの際にクラッシュした事で、70周のレースは終盤に展開が一変。ギャップがリセットされフェルスタッペンはカルロス・サインツ(フェラーリ)にDRS圏内を許す事となったが、ラスト16周に渡るその執拗な攻撃を交わし切り、キャリア通算150戦の節目を勝利で締め括った。

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健闘を称え合うマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とカルロス・サインツ(フェラーリ)、2022年6月19日F1カナダGP決勝レース後のグリッドにて

フェルスタッペンの僚友セルジオ・ペレスはメカニカルトラブルに見舞われリタイヤに終わった。チーム代表のクリスチャン・ホーナーはギアボックストラブルが疑われると説明した。

レッドブルは第4戦エミリア・ロマーニャからの連勝を6回に伸ばした。英国ミルトンキーンズのチームにとっては2013年にセバスチャン・ベッテルが9連勝を挙げて以来、チーム史上2番目の連勝記録となった。

フェルスタッペンは無線にトラブルを抱えていたようで、自らの意思をピットウォールに伝える事ができていなかった。ホーナーは「一方通行だったんだ。彼にはこちら側の声が聞こえていたけど、こっちは彼の声が聞こえない状態だった。まぁ向こうにしてみれば、僕らに聞かなきゃならない事はあまり多くなかったと思うけど」と説明した。

優勝を懸けての一騎打ちを繰り広げた両者の後方、3位表彰台にはルイス・ハミルトンが滑り込んだ。開幕バーレーンGP以来のポディウムとなった。4位にはジョージ・ラッセルが続き、メルセデスが嬉しい3-4フィニッシュを果たした。

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2位カルロス・サインツ(フェラーリ)、優勝マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、3位ルイス・ハミルトン(メルセデス)、2022年6月19日F1カナダGPの表彰台セレモニーにて

パワーユニット交換によって最後方19番グリッドからスタートしたシャルル・ルクレールは5位フィニッシュと、ダメージを最小限に抑えた。

2012年以来、10年ぶりの最前列に着いたフェルナンド・アロンソはピットストップの機を逃し、更にエンジントラブルを抱えた事で7位と後退した。更にレース後、バルテリ・ボッタス(アルファロメオ)に対する進路変更によって5秒ペナルティが科されて最終9位に降格となった。チームメイトのエステバン・オコンは6位でフィニッシュ。アルピーヌはダブル入賞を果たした。

アルファロメオ勢はボッタスが8位フィニッシュの7位、周冠宇は9位フィニッシュの8位と、各々繰り上がり、2台揃ってポイントを獲得した。最後の入賞枠、10位には地元出身のランス・ストロール(アストンマーチン)が入った。

ストロールが母国レースを入賞で飾った一方、オスカー・ピアストリとの交代が濃厚とみられるウィリアムズのニコラス・ラティフィは、地元観衆の期待に応える事ができず16位でフィニッシュした。

アルファタウリ勢はパワーユニット交換で最後尾20番グリッドからスタートした角田裕毅がクラッシュによりリタイヤを喫し、フロントブレーキのトラブルによるQ1敗退を経て、繰り上がりの後方15番グリッドに着いたピエール・ガスリーは14位と、巻き返し叶わず共にノーポイントに終わった。角田裕毅は自身のミスをチームに謝罪した。

3列目を独占したハース勢は期待とは裏腹にノーポイントに終わった。5番グリッドのケビン・マグヌッセンは1周目のターン3でハミルトンと接触。フロントウィングの右翼端板が破損したためにオレンジボールフラッグが振られ、完走17台中最下位に終わった。

ミック・シューマッハは初入賞に向けて得点圏内を走行していたものの、パワーユニットのトラブルに見舞われ20周目のターン8でクルマを停めた。

レース概要

決勝は日本時間19日(日)27時にブラックアウトを迎え、1周4,361mのコースを70周する事で争われた。

前日とは打って変わって現地モントリオールは晴天に恵まれ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温20℃、路面41.4℃、湿度30%、気圧1012.5hPaのドライコンディションで開始された。

公式タイヤサプライヤーのピレリは最も柔らかいレンジのC3からC5までのコンパウンドを投入。終盤にセーフティーカーが導入された事で2ストッパーが主流となった。

トップ10を含む15台はミディアムタイヤを、13番グリッドのペレス、19番グリッドのルクレールを含めた5台はハードコンパウンドをスタートタイヤに選択した。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

2022年6月19日にジル・ビルヌーブ・サーキットで行われたF1カナダGP決勝レース1周目にリードラップを守るマックス・フェルスタッペン(レッドブル)

注目のオープニングラップではフェルスタッペンとアロンソがトップ2を死守。ペレスは2つポジションを上げて11番手に、ルクレールと角田裕毅はラティフィを交わしてそれぞれポジションを1つ上げた。

ボッタスは最終シケインでランオフに飛び出し復帰の際にボラードを破損。レースコントロールは黒白旗を振った。

サインツは4周目にアロンソを抜いて2番手に浮上。後方のガスリーとベッテルは5周目という早い段階でハードタイヤに交換するも、直後の8周目にペレスがエスケープゾーンにクルマを停めたため、バーチャル・セーフティーカー(VSC)の好機を逃す格好となった。

ラップをリードをリードするフェルスタッペンをはじめ、ハミルトン、角田裕毅、ラディフィの4台がピットストップを行いハードタイヤに履き替えた。

2度目のVSCはシューマッハがトラブルに見舞われた20周目だった。ここで第1スティントを引っ張っていた各車が続々ピットストップに動いたがアロンソはステイアウト。4番手を走行していた29周目にアンダーグリーンでピットインしたために7番手にまで後退した。

ミッドフィールドにはストロールを先頭とするDRSトレインが発生。角田裕毅はこれに阻まれ、ポジションを上げられないもどかしい展開が続いた。

後方からの挽回を図るルクレールはオコンを追い抜きあぐねて42周目にピットイン。ミディアムタイヤに履き替えるも、交換作業でタイムロスがあり、中団のDRSトレインの後方、12番手でコースに復帰した。手痛いミスだった。

ジル・ビルヌーブは路面がスムーズである割にはデグラデーションが大きい。ラップリーダーのフェルスタッペンはタイヤに苦しみ、44周目に2回目のピットストップを行って再びハードタイヤに履き替えた。これに続いてメルセデスの2台も相次いで追加のストップを消化した。

角田裕毅はストロール共々49周目にピットイン。ハードタイヤに履き替えコースに戻ろうとピット出口に向かったものの、レーンを回り切れずにターン2脇のバリアに左フロントから突っ込んだ。

これによりセーフティーカーが導入され、ステイアウトしていたサインツがアドバンテージを得てピットイン。アルピーヌ勢とアルファロメオ勢もダブルストップを敢行した。

レースは残り16周でリスタートを迎えた。DRSが解禁されるとサインツがフェルスタッペンを強襲。毎周に渡って攻撃を仕掛けたがサイド・バイ・サイドにまで持ち込む事はできず、初優勝はまたもお預けとなった。

2022年F1第9戦カナダGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・RBPT 70 1:36:21.757 25
2 55 カルロス・サインツ フェラーリ 70 +0.993s 19
3 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 70 +7.006s 15
4 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 70 +12.313s 12
5 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 70 +15.168s 10
6 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 70 +23.890s 8
7 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 70 +25.247s 6
8 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 70 +26.952s 4
9 14 フェルナンド・アロンソ アルピーヌ・ルノー 70 +29.945s 2
10 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 70 +38.222s 1
11 3 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 70 +43.047s 0
12 5 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン・メルセデス 70 +44.245s 0
13 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 70 +44.893s 0
14 10 ピエール・ガスリー アルファタウリ・RBPT 70 +45.183s 0
15 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 70 +52.145s 0
16 6 ニコラス・ラティフィ ウィリアムズ・メルセデス 70 +59.978s 0
17 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 70 +68.180s 0
NC 22 角田裕毅 アルファタウリ・RBPT 47 DNF 0
NC 47 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 18 DNF 0
NC 11 セルジオ・ペレス レッドブル・RBPT 7 DNF 0

コンディション

天気晴れ
気温20℃
路面温度41.4℃
周回数70

セッション概要

グランプリ名 F1カナダGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 ジル・ビルヌーブ・サーキット
設立 1978年
全長 4361m
コーナー数 14
周回方向 時計回り

F1カナダGP特集

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