問われる真価、レッドブル時代と異なる走行スタイルで突破口を掴むリカルド

ジル・ビルヌーブ・サーキットでメディアからの質問に答えるルノーのダニエル・リカルド、2019年F1カナダGPcopyright RENAULT SPORT

ルノーF1チームとダニエル・リカルドの真価が問われようとしている。推定年俸2650万ポンド、日本円にして約36億4600万円というグリッド3番目の高額ドライバーは、前戦モナコGPで今季2度目の入賞を果たし、自身がF1初優勝を飾った思い出の地モントリオールへと向かう。

「冬のテストの時は上手くスピードを引き出せてると思ってたんだけど、最後の5%を絞り出すには少し時間がかかりそうな状況だったんだ」とリカルド。「最初の5レースはそうじゃなかったけど、今は突破口を掴めたと信じてる」

リカルドは過去5シーズンに渡って、強力なダウンフォースとスタビリティを持つレッドブルのマシンに慣れ親しんできたが、キャラクターが異なるルノーのマシンに適応すべく、今年は試行錯誤しながら自身のドライビングスタイルを変更。これによって改善の糸口を見つけ出したという。

「今では安心してドライブ出来る様になってきているけど、いくつかの部分では、昨年と比べて少し違う走り方を試しているんだ。コーナー進入時のブレーキの踏み方やスロットルを開け方を変えたりすることでね」

ルノーの一員として初めて挑んだ開幕オーストラリアGPでは、無冠の帝王と称されるヒュルケンベルグとのバトルに大きな注目が集まった。実際のところ、リカルドが”どれ位のギャップを付けてヒュルケンベルグに勝つのか”が、独国民を除く多くのファンの興味の対象だったように思われるが、蓋を開けてみればリカルドはチームメイトに全く歯が立たなかった。

だが第2戦バーレーンGP以降、リカルドは新しい環境とマシンに徐々に自分を合わせ込んでおり、初戦を除いて一度たりともヒュルケンベルグの後方でチェッカーを受けていない。6戦を終えてリカルドは、ランキング15位のヒュルケンベルグを抑えて13位につけている。

「ニコはシーズン始まりと同時に強さを発揮し、僕は最初のレースで彼に敗れてしまった」とリカルド。「彼は予選Q2で1回のアタックしかしなかったけど、僕には2度のチャンスがあったのに、彼には勝てなかった。でもそれ以来、僕は上手くまとめられるようになってきている」

ルノーは3強チームとのギャップを縮めることを公言し2019シーズンに挑んだが、現在コンストラクターランキングでハースやレーシングポイント、トロロッソ・ホンダに先行を許す8位に甘んじている。とは言え、エンストンやヴィリー=シャティヨンでの開発は絶えず続けられており、母国フランスGPではR.S.19に対する大規模な空力アップグレードが予定されている。

車両テクニカル・ディレクターのニック・チェスターによれば、カナダGPでもメカニカル及びエアロのアップグレードが持ち込まれるとの事だが、ポール・リカールで計画されているもの程のインパクトがあるわけではない。しかしながら、ルノーは前戦よりスペック2エンジンをフルパワーで可動させており、パワーセンシティビティの高いジル・ビルヌーブ・サーキットでどれだけやれるかにパドックの関心が集まっている。

「シーズンを通して進化を遂げてきた事は間違いない」とリカルド「モナコやバルセロナでの結果には勇気づけられたけど、今回がテスト本番といったところだろう。上手くやれる自信はあるけどね。”上手く”が意味するのは何かって?そりゃ予選Q3進出さ」

「モナコ以上にプッシュできるかどうかは分からないけど、信頼性は向上しているし、既に過去数レースと比べて遥かにクルマの性能を引き出せるようになっている。僕はめちゃくちゃヤル気に満ちてるし、表彰台に戻りたいって思ってるよ」

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