世界に僅か3台!バトンのブラウンGP「BGP001」が競売に、”奇跡”のF1マシンの価値とは?
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2009年のFIA-F1世界選手権でコンストラクターズおよびドライバーズの両タイトルを獲得したブラウンGPのマシン「BGP001」 が、2025年のF1マイアミGPの一環として行われる英ボナムズのオークションに出品されることが決定した。
このシャシーは、わずか3台しか製造されなかった貴重なモデルのひとつであり、2009年の開幕戦オーストラリアGPを戦ったシャシーNo.01 にあたる。このデビューレースでブラウンGPは1-2フィニッシュを達成し、F1界に衝撃を与えた。
ダブルディフューザーでF1を席巻した伝説のマシン
前年末にF1から撤退したホンダの開発資産を引き継ぎ、メルセデス製エンジンを搭載できるよう改造された「BGP001」 は、革新的なダブルディフューザーを搭載。これによりダウンフォースを大幅に向上させ、圧倒的なアドバンテージを得た。
このマシンの成功は、2008年末にホンダがF1から撤退した後、ロス・ブラウンとニック・フライがチームを買収し、メルセデス製エンジンを搭載して参戦した「奇跡の物語」として広く知られている。
ダブルディフューザーの発案者はホンダのエンジニア、皆川真之氏とされる。その圧倒的な効果は、ルーベンス・バリチェロがバルセロナテストで1秒差をつけて最速ラップを記録したことで明らかとなった。
資金的な制約と限られた準備期間にもかかわらず、ブラウンGPは開幕から圧倒的なパフォーマンスを発揮した。
ジェンソン・バトンは開幕7戦のうち6勝を挙げ、チームメイトのバリチェロも複数の表彰台を獲得。その結果、ブラウンGPは2009年シーズンのドライバーズタイトル(バトン)とコンストラクターズタイトルの両方を獲得する快挙を成し遂げた。
これはF1史上、新規参戦チームとして唯一初めてチャンピオンを獲得した成功例となっている。
シャシーNo.01の歴史
2009年シーズン終了後、シャシーNo.01はバトンに譲渡され、2024年まで彼の個人コレクションの一部として保管されていた。ただし、このシャシーはバトンがタイトルを決めた車両ではなく、バリチェロがドライブした個体である。
バトンがチャンピオンシップを制したシャシーNo.02はロス・ブラウンの所有となり、シャシーNo.03はメルセデスに贈られた。
F1史に刻まれる奇跡のマシンは、果たしてどのような価格で落札されるのだろうか。少なくとも、ロス・ブラウンがホンダからチームを買収した際の「1ポンド」より高額になることは間違いない。
「BGP001」が出品されるマイアミ・オークションは、マイアミGPの週末にマイアミ・インターナショナル・オートドロームで開催される。35台以上の名車が出品される予定で、5月3日の夜にはサーキットのコース上でライブオークションが行われる。