動画:知られざるF1セーフティーカーの秘密、ベルント・マイレンダーが自身の”仕事部屋”を解説
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F1のFIAセーフティーカー・ドライバーとして、20年のキャリアを持つ大ベテラン、ベルント・マイレンダーが、自分の”仕事部屋”について解説した動画が、メルセデスによって公開された。なかなか興味深い映像だったので、その一部を紹介したい。
フォーミュラ1では1996年以降、メルセデスがセーフティーカーを無償提供しており、2018年シーズンより最新型の「AMG GT R」が投入されている。同車は歴代最高出力となる585馬力を誇り、0-100km/hは3.6秒、最高速度318km/hを誇るスーパーカーだ。
© Daimler AG / 2018年より導入されたF1セーフティカー メルセデスAMG GT R
セーフティーカーの役割は、トラック上に安全性などの問題が発生した場合にコースに向かい、ラップリーダーを捕まえて隊列を先導する事にある。当然のことながら、レースコントロールからの指示を受け直ぐにコースに出られるように、ベルント・マイレンダーはレース中はずっと、不測の事態に備えてクルマの中で待機しなくてはならない。
まずはアンテナ。クルマには外部との通信のために無数のアンテナが設置されている。テレメトリー用のものはフロントガラス前方に、そしてレースコントロールやレースディレクターとコミュニケーションを取るための無線用アンテナは後部に配置されている。
レース中は常時、レースコントロールとやりとりを行うため、無線は非常に重要。後部のアンテナは大型のものが採用され、メインとバックアップ用の2回線が備わっている。
コース上のフラッグ状況を知らせるマーシャリングシステムがライト前方に設置されており、ライトバー上部には前後のオンボードカメラが搭載される。
続いて車内。トラクションコントロールは基本オフ。「だってその方は刺激的でしょ」とマイレンダー。ディスプレイは3枚。上部のものはエンジン・ギアボックスの油温や、馬力・トルクの状態を表示させるのに使い、残りの2枚はラップタイムなどを表示させるほか、20Gを超えるアクシデントが発生した際に、事故が発生した場所と衝撃の大きさをポップアップして知らせてくれるのだそうだ。
ルーフに取り付けられたLEDライトには、オレンジ、グリーンの2色が用意されている。グリーンは、後続を走るマシンに対して「セーフティーカーを追い越すよう指示」するものであり、ラップリーダーがセーフティーカー背後につくまでの間、点灯される。全ての車両がセーフティーカー後方についた後、グリーンライトは消灯され、オレンジ色へと切り替えられる。
ダウンフォースを稼ぐためにAMG GT Rには大型のリアウイングが搭載されており、ミラーで後方を確認する事は困難。そのため、カメラを使用したバックミラーモニターが搭載されており、ドライバーとコ・ドラは、コックピットのモニターを介して背後のF1マシンを監視できるようになっている。
車両後部には、データロガーやWi-Fiルーター、無線やカメラ、マーシャリング及びテレメトリーユニットなど、様々な電子機器が搭載されている。