弱り目に祟り目のオコン、2度の接触に3度のペナルティ「僕だけじゃないのに…」一体なにが起きていた?
Published: Updated:
2023年F1シーズンの開幕を告げるバーレーンGPはアルピーヌのエステバン・オコンにとって、忘れ去りたいレースとなった事だろう。何しろ立て続けに3度のペナルティを受け、2度に渡って接触事故に遭い入賞のチャンスを棒に振ったのだから。
前日の予選でQ3進出を果たしたオコンは、フォーメーションラップを経て9番グリッドに着いたものの、停車した位置がピットボックスの枠内に収まっておらず、いきなり5秒ペナルティを受ける事となった。
一件についてオコンは「こういうことは過去に一度もなかったから、少し驚いている」と語った。また、The Raceによると「ほかにも4台が(規定位置より)前に出ていた」とも主張し、自分だけが罰せられるのは不公平だと訴えた。
「僕だけがラインから外れていたわけじゃないんだ。僕が最も前に出ていたのは確かだけど。苛立たしいね」
ただスチュワードは「右フロントタイヤがグリッドの既定停止位置に収まっていなかった」としており、またスタートの際の写真を見ても「前」ではなく「右」に大きくはみ出ていた事が問題視されたように思われる。
スタート後のオープニングラップでは、ターン2でランド・ノリス(マクラーレン)と接触してフロントウィングの左翼端板を損傷。続くターン4ではニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)とも接触があった。
そのためオコンはフロントウイングの交換のためにピットインしたわけだが、この時に合わせてペナルティを消化しなければならなず、チームのその心づもりであった。
だが本来であれば停車して5秒間、クルマに手を触れてはならないところ、メカニックは4.6秒後に作業を開始。ペナルティ未消化と見なされた。
スチュワードはレビューを経て「失格に値するほど重大なものではない」として10秒ペナルティを加えた。
チーム代表のオトマー・サフナウアーによるとこの失態は、システムの設定ミスにより生じたものだった。作業を開始して良いタイミングをメカニックに音声で知らせるシステムの設定が0.4秒誤っていたのだという。
実はこのピットインの際、オコンはもう一つのルール違反を犯していた。速度が80km/hに制限されているピットレーンを80.1 km/hで走行したのだ。この結果、さらに5秒のタイムペナルティが科される事となった。
F1マシンにはリミッターが搭載されており、ドライバーはピットレーンに進入する際にリミッターをオンにし、ピットレーンからコースに出る際に解除する。タイミングを誤れば当然、速度制限違反の可能性が生まれる。
擦った揉んだの挙げ句、9番グリッドという好位置を手にしながらも最後尾にまで転落したオコンは、残り16周を残してガレージにクルマを入れリタイアした。
レース後、重い口を開いたオコンは「今日は僕らの日じゃなかった。ピットストップだったり正しい場所での停止といった事は、僕らが普段から気をつけていることなのに、今日はすべてがうまくいかなかった」と落胆を隠さなかった。
「次からは上手くやれるよう分析してみるつもりだ」
サフナウアーもまた「今日のようなことが繰り返されないように、もっとうまくやらなければならない」と述べ、ドライバーとチーム、そして自身を戒めた。
オコンとは対照的に、新たなチームメイトとなったピエール・ガスリーは、グリッドの最後尾からの逆転9位入賞を飾り、A523のポテンシャルを示してみせた。
2023年F1第1戦バーレーンGPの決勝レースはマックス・フェルスタッペンがポール・トゥ・ウインを果たし、2位にセルジオ・ペレスが続いた事でレッドブルが1-2フィニッシュを飾り、3位表彰台にフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)が滑り込む結果となった。
史上最速のF1ストリートサーキットを自称するジェッダ市街地コースでの次戦サウジアラビアGPは3月17日(金)のフリー走行1で幕を開ける。