ピエール・ガスリー、計量義務違反で罰則…アゼルバイジャンGPでピットレーンスタート

バクー市街地コースのパドックを歩くレッドブル・ホンダのピエール・ガスリーcopyright Red Bull Content Pool

ピエール・ガスリーの受難が止まらない。アゼルバイジャンGPのレーススチュワードは、FP2終了後の計量指示を無視したとして、レッドブル・ホンダ10号車のドライバーに、決勝でのピットレーンスタートを科す裁定を下した。

初日2回目のフリー走行を終えてピットレーンへと戻るガスリーに対し、オフィシャルがボードとライトによってFIA重量ブリッジエリアに来るよう指示。だが、ガスリーはこれを見落としてレーンを通過し、ガレージへと戻ってしまった。

ガレージ前に停車したレッドブル・ホンダRB15はリフトアップされ、クルーが4輪全てを交換。このため、レギュレーションによって義務付けられた計量を行う事が出来ず、ガスリーはセッション終了後にFIAから召喚されていた。

映像証拠の見直しと、ガスリー及びチーム代表からの聞き取り調査を終えたFIAは、レギュレーション29条1項aの取り決めに従い、ガスリーにピットレーンからのスタートを命じた。なお発表された声明では「ドライバーは誤って停止せず」といったニュアンスで記されており、故意性については否定している。

「ショートランの手応えはそんなに良くなかったけど、ポテンシャルはあるから、全てをまとめられれば満足のいく走りができると思う」非情な裁定が下される前、9番手でセッションを終えたガスリーは、ポジティブな言葉を口にしていた。

「その一方で、燃料を積んだ状態のロングランの方がフィーリングが良かったし、かなり満足できる走りが出来た。もちろんFP1でちゃんと走れたら良かったんだけど、予定していたプログラムは全てFP2で消化できた」

「かなり多くのことをテスト出来たし、明日に向けて良い方向性を掴む事が出来た。僕らのパッケージにパフォーマンスがあることが分かったし、僕としてはかなり満足してる」

「ブレーキングは少し難しく、何度かエスケープロードに逃げ込まなきゃならなかったけど、それは限界を探っていたせいさ。周回を重ねる毎にクルマの感触は良くなっていたから、フィーリングには満足してる」

「今日はフェラーリがかなりの速さを示していたけど、明日の予選で僕らがどこまで肉薄できるか楽しみだ。さっきも言ったように、僕らにはいいレースカーがあるから、好材料は揃ってる」

計量関連の違反によってドライバーが罰則を受けた例としては、2015年のモナコGP予選で8番手を記録していたカルロス・サインツ(当時トロロッソ)が、計量義務を果たさなかったとしてピットレーンスタート処分になった他、2016年のバーレーンGPでのケビン・マグヌッセン(当時ルノー)等が挙げられる。

最も直近では、セバスチャン・ベッテルが昨年のブラジルグランプリの予選Q2で、エンジンをかけた状態のままで計量ブリッジへと乗り、機材を破損させた事件がある。

トロロッソ・ホンダ初年度の英雄ガスリーは今年、夢の本家レッドブル昇格を果たしたものの、プレシーズンテストで2度のクラッシュを喫する失態を犯し、序盤の3レースではRB15のコントロールに苦戦。チームメイトのマックス・フェルスタッペンの有能さを際立たせるだけの存在に甘んじており、チーム内での立場が危ぶまれている。

ペナルティを受けたのがバクーだったのは不幸中の幸いだ。全開区間24秒を持つ高速の市街地コースはオーバーテイクが容易であり、例年決勝ではセーフティーカーが幾度となく出動する波乱のレースとなる。ミスをせずに状況を味方につける事ができれば、表彰台に上がることさえも可能。ガスリーの真骨頂が試される。

F1アゼルバイジャンGP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了