”かなりの大規模アップグレード”で勢力図変わるか? F1イギリスGPで注目すべき3つのミッドフィルダー
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F1発祥にして本拠の地、シルバーストン・サーキットで開催されるF1第10戦イギリスGPでは3つの中団チームが意欲的なアップグレードを投入する見通しだ。ミッドフィールドの勢力図が塗り替えられる可能性もある。
アルピーヌのチーフテクニカル・オフィサーを務めるパット・フライは週末を前に、A522に「かなりの大規模アップグレード」を投入する事を明らかにした。現在英国エンストンのファクトリーで開発が進められている新たなパッケージには、新型フロアやトップボディが含まれるという。
今週末の現地トウスターは不安定な天候となる見込みだが、これまでの開発によってA522は苦手としてきた低速パフォーマンスを改善させる事で総合力を高めており、フライは「雨でもドライでも競争力を発揮できる」と強気の姿勢だ。
またエステバン・オコンもアップグレードの投入に触れて「上手くいけば良い2週間が過ごせると思う」と述べ、シルバーストン、レッドブルリンクと続く高速2連戦に向けて自信を示した。
懸念材料は信頼性だ。前戦カナダでフェルナンド・アロンソは、予選で10年ぶりの最前列を獲得するも、決勝ではパワーユニットとサスペンションという2つの信頼性トラブルに見舞われ、更にはグレイニングとバーチャル・セーフティーカー(VSC)が足かせとなり、表彰台獲得には至らなかった。
アロンソが「常にトップ10圏内のパフォーマンスがあるように見えるにも関わらず、これまでのシーズンは浮き沈みが多い」と語る通り、インシデントやSCによる不運、そして信頼性トラブルによって失ったポイントは余りにも多い。
アルピーヌの他にはウィリアムズも要注目だ。車両パフォーマンス部門を率いるデイブ・ロブソンによると、グローブのチームが持ち込むアップグレードもかなり大掛かりなものになりそうな雰囲気だ。
ロブソンは高速コーナーとショートストレートが特徴的なシルバーストンで、フロアとボディーワークの改良を主とする空力アップデートを投じる計画だと明かした。これはFW44に決定的に欠けているダウンフォースの「効率的な増加」を目的としたものだという。
ただしそれはアレックス・アルボンのマシンにのみ導入され、ニコラス・ラティフィは旧スペックのまま週末を戦う。
この新開発のパーツは「マシンバランスやハンドリングを変える可能性が高い」との事で、最大限のパフォーマンスを引き出せるようになるためには少し時間が掛かる見通しだという。マイナーアップデートでない事は確実だ。
アルピーヌやウィリアムズと同様に、アストンマーチンもAMR22のBスペック完全版を持ち込む見通しで、中団ではこの3チームに大きな注目が集まる。
対照的に、角田裕毅やフレデリック・バスール代表はパッケージ的な苦戦を予想しており、アルファタウリ、アルファロメオ、マクラーレン、そしてハースは車体性能引き上げのための強力なアップグレードなしに週末を迎える可能性がある。
F1イギリスGPは日本時間7月1日(金)21時からのフリー走行1で幕を開ける。