アルファタウリ・ホンダF1、”桁外れのスピード”を持つ角田裕毅のクラッシュを織り込み済み
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アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表は、今年F1デビューを飾る角田裕毅のクラッシュを織り込み済みだ。それは何も彼の腕に問題があると考えているからではない。急速な成長への期待の表れだ。
角田裕毅はホンダの支援のもと、2018年のFIA-F4日本選手権でチャンピオンに輝くとレッドブル・ジュニアに抜擢され、2019年はFIA-F3選手権に参戦。僅か1年で今度はFIA-F2選手権へのステップアップを果たし、F1へのチケットを手にした。
2019 FIA-F3 第7戦 イタリア レース2を6番手からスタートして初優勝を飾った角田裕毅 / © Honda
戦いの地をヨーロッパに移して以降、角田裕毅はF1に至るまでに1つのシリーズで2年以上を過ごした事がない。この異例とも言えるスピード出世は、2007年のF1ワールドチャンピオン、キミ・ライコネンや、来季チームメイトの可能性もある次世代王者筆頭に数えられるマックス・フェルスタッペンを彷彿とさせる。
その急激な成長故にトスト代表は、角田裕毅がシーズンの早い段階で結果を出すと考える一方、その裏返しとしてマシンをクラッシュさせる事もあり得ると想定している。
2021年の新車「AT02」の発表に際しトスト代表は「彼の学習曲線はかなり急なものになると予想している」と語り次のように続けた。
「それ故、かなり早い段階で良いパフォーマンスを発揮できるはずだ。もちろん幾つかのクラッシュもあるだろう。だがそれは成長に向けた一環と言える」
これまでに幾人もの若手ドライバーをそばで見守ってきたトスト代表だけに、敢えてクラッシュの可能性を口にしておくことで、実際に事故を起こしてしまった場合に角田裕毅を守る意味合いもあるのだろう。
それは一種の愛情であり、事実、トスト代表は角田裕毅に大きな期待を寄せている。
「彼のマシンコントロール、力強いブレーキング、高速コーナーでのスピードは本当にずば抜けている」とフランツ・トストは語る。
「昨年のイモラとアブダビでのテストのように、彼が学習プロセスを続けていけば、素晴らしいレースが見られるだろう」
角田裕毅とピエール・ガスリー / © Red Bull Content Pool
角田裕毅のチームメイトを務めるのは、4年目のF1フルシーズンを迎えるピエール・ガスリーだ。トスト代表は、昨年のモンツァでの優勝を含むガスリーの経験が角田裕毅の成長に大いに役立つと考えている。
「ピエールは非常に高いスキルを持ったドライバーで、今やチームとユウキを率いていくに十分な経験を積んでいる」
「ドライバーは誰でもチームメイトと自分を比較するものだ。ピエールの方が上手であればあるほど、ユウキは自分自身を向上させようとする気持ちが強くなるだろう」
「ラップタイムの比較、マシンのセットアップ、ドライビングラインなど、ユウキはピエールから様々な面で多くの事を学ぶことができる。強力で経験豊富なチームメイトがいれば様々なパラメーターを比較し、それによって自身のパフォーマンスを向上させることができるのだ」