不遇なキャリア最終章を過ごすフェルナンド・アロンソ、F1からの引退を声高に正当化

サングラスとイアフォンを装着し集中力を高めるマクラーレンのフェルナンド・アロンソ、2018年 F1日本GPcopyright Mclaren

F1で2度頂点を極めたフェルナンド・アロンソのキャリア最終章は、見るも無残な形で幕を下ろす事になるのだろうか? アロンソは第18戦アメリカGPと第19戦メキシコGPで立て続けにリタイヤを喫し、今シーズンのDNFが6に到達。マクラーレンは第16戦ロシアGPから3戦連続でダブルQ1敗退を続けるなど、競争力を欠いている。

アロンソは今年8月に、F1からの現役引退を発表。11月のシーズンフィナーレを飾るアブダビGPを以てF1を去る。来季の活動スケジュールについては未だ発表がないが、WEC世界耐久選手権への参戦を継続しつつ、トリプルクラウン達成のためにインディ500へのスポット参戦を果たすものとみられている。

F1キャリア終焉へと向かうシーズン最終盤、エルマノス・ロドリゲス・サーキットでのレースでアロンソは、レーシングポイント・フォースインディアのエステバン・オコンのでデブリがバージボードに引っかかり、僅か3周でマシンを降りる事を強いられた。下位争いに加えて不遇のトラブルが続く中、アロンソはそれでもなおレースを楽しんでいると強調する。

「レースを楽しんでるよ。間違いなくね」とアロンソ。「確かに運がなかったけど、ミスによるリタイヤでない限り、自分の走りを分析し噛みしめる事ができる。ここ2レースでは、一度は後ろから激突され、もうひとつではデブリがマシンにぶつかってリタイヤに追い込まれた。100万回に1回あるかどうかって珍事だよ」

「でもこういった事は時折起こるものだし、これがライバルのマシンに起きていれば自分にとってはチャンスとなる。ラスト二戦で無事にチェッカーフラッグを受けられるか、運があるかどうか。どうなるだろうね」

アロンソが最後にチャンピオンシップを争ったのは2013年のフェラーリ時代。以降はタイトル争いから遠く離れ、グリッド中段から最後方へと自身の主戦場をズルズルと後退した。2005年と翌06年を連覇した時、このような悲劇的とも言える状況下でキャリアを終える事になると予想した者があっただろうか。

現役最強と呼ばれながらも、速いマシンに恵まれない因果なキャリア終盤を過ごすアロンソは、引退の理由を「マシンに恵まれなかったせい」と仄めかしていたが、メキシコでのレースを終えて一転。これを否定する。

「いや、競争的なマシンを手に入れられる可能性はあったんだ。マシンの競争力がないから止めるんじゃないんだ。F1で成し遂げたかった全ての事を達成できたから引退するんだ。優勝し、チャンピオンシップを獲り、マクラーレンやルノー、フェラーリでドライブした。これ以上一体何が出来るって言うんだい?F1で叶えたいと思っていた夢の全てを成し遂げたんだ。モータースポーツの中にはF1よりも大きな新しい事がある」

「止めざるを得ないから止めるんじゃなくて、止めたいから止めるんだ。F1での物語は終わったんだよ。輝かしい多くの成功とともにね。今後はF1の外でより良いキャリアを築き、より優れたドライバーになれるって信じてる」

「僕はチーム代表を務める全ての人達から尊敬されていたし、僕は最高のマニュファクチャラーのためにレースをした。ゴーカートをしていた時よりも遥かに多くの金をもらったし、素晴らしい人生を過ごしている」

仮にアロンソが2019年のメルセデスAMGのマシンを駆るチャンスを得ていたとしたら、今年限りでF1を去る決断を下しただろうか?皮肉なことに、声高に正当化すればするほど物事は逆説的に響いてくる。いずれにせよ、アロンソは3度目のタイトル獲得を標榜して今シーズンに挑み、その目標を叶えられずにF1から去る。

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