全ライバルF1チーム、ウォルフ夫妻への苦情を否定…機密情報漏洩疑惑を巡り
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メルセデスのチーム代表を務めるトト・ウォルフとその妻スージーによる機密情報漏洩疑惑を受けレッドブルやアルファタウリを含む全てのF1チームは、国際自動車連盟(FIA)に苦情を申し立ててはいないとする声明を発表した。
F1の統括団体であるFIAは2023年12月5日(火)、一件を報じた英誌「BusinessF1」の記事を受け、コンプライアンス部門による調査を開始したと発表した。
フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)が所有するF1アカデミーのマネージング・ディレクターを務めるスージーは、夫を通じてFOMが知り得ないチーム代表者同士の議論に関する情報を把握できる立場にあり、またトトは妻を介してFOMの機密情報を入手できる立場にある。報道によるとライバルチームの代表らは利益相反について懸念を示したという。
しかしながら、この記事は事実無根であった可能性が高そうだ。
メルセデスを除く全9チームは6日(水)、足並みをそろえ相次いで声明を発表し、その中で「F1チーム代表とFOMのメンバーとの間で機密情報がやりとりされたという疑惑について、FIAに苦情を申し立てていないことを我々はここに確認する」と述べた。
また、来季よりドライバーに対するスポンサーシップを通じてF1アカデミーおよび、そのマネージング・ディレクターを務めるスージー・ウォルフをサポートできる事を「嬉しく思うと共に誇らしく感じている」とも述べた。
この騒動については、トト・ウォルフとモハメド・ベン・スレイエムFIA会長との対立が背景にあるとの見方もある。
トト・ウォルフは昨年、2021年シーズンのコスト上限違反に関して、違反したレッドブルよりも早くその事実を把握していたとの疑いが持たれた。FIAの技術指令に関しても同様の事態が生じた。
これらのリーク元として疑われたのはウォルフの元顧問であり、FIAのモータースポーツ担当暫定事務局長を務めていたシャイラ・アン・ラオだった。ベン・スレイエム会長は事務局長就任発表から僅か半年でシャイラ・アン・ラオの退任を発表した。真相は明らかにされていない。
FIAが調査の開始を告げた5日(火)、メルセデスとスージー・ウォルフはFIAの対応に強い不満を表明した。メルセデスはトト・ウォルフへの中傷であるとして「実体のない軽率で重大な主張」を非難し、スージー・ウォルフは「威圧的で女性蔑視的」との強い表現を用いて反発した。