ハミルトン完封、ホンダは2位表彰台でレッドブルとの初年度締め括る / F1アブダビGP《決勝》結果とダイジェスト
Published:
2019年F1世界選手権の最終戦、第21戦アブダビGP決勝レースが12月1日(日)に行われ、メルセデスAMGのルイス・ハミルトンが全周リードラップ、ファステストラップを記録した上で、後続を17秒引き離してキャリア通算50回目のポール・トゥ・ウイン。パーフェクトゲームでシーズンを締め括り、ホームストレート上でドーナツターンを披露した。
2位はレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン。自身31回目の表彰台に上がった。フェラーリに対して付け入るスキを与える事はなかったものの、エンジンのドライバビリティに不満を訴える場面もあり、この日のハミルトンに対しては一切為す術がなかった。僚友アレックス・アルボンは6位入賞という結果となった。
© Getty Images / Red Bull Content Pool
3位はフェラーリのシャルル・ルクレール。レース前に発覚した燃料搭載量の報告値と実測値が一致しなかった一件に関しては、失格処分の可能性を指摘する声もあったが、スチュワードはレース後に調査を行い、5万ユーロの罰金をチームに科すのみに留めた。僚友セバスチャン・ベッテルは5位でチェッカーフラッグを受けた。
大注目のコンストラクター5位争いではルノーが勝利。ダニエル・リカルド、ニコ・ヒュルケンベルグ共に入賞圏外でレースを終えたものの、トロロッソ・ホンダがダニール・クビアトの9位入賞のみに留まったため、ルノーが5位の座を守りきった格好となった。
ピエール・ガスリーは1周目に、レーシングポイントの2台と交錯してフロントウイングを破損。早々に戦線離脱を強いられ、18位でフィニッシュラインを駆け抜けた。マクラーレンのカルロス・サインツが10位入賞を果たしたため、ドライバーズランキングでの6位の座を明け渡す結果となった。
最終戦は別れを告げる場でもある。ルノーでのラストランとなったヒュルケンベルグは、最終盤までポイント圏内10番手を走行していたものの、フレッシュタイヤを履くサインツとリカルドにファイナルラップで交わされ12位フィニッシュ。有終の美を飾る事はできなかった。かつてF1ワールドチャンピオン候補筆頭に数えられていたロバート・クビサは、F1マシンでの最後のレースを19位で終えた。レース前には恒例の集合写真の撮影が行われた。
セーフティーカー導入はなく、リタイヤしたのはレーシングポイントの一台のみ。ランス・ストロールが48周目にクルマをガレージへ入れリタイヤした。
© Getty Images / Red Bull Content Pool
シーズンのフィナーレを告げる第21戦の舞台は、2本のロングストレートを有し、低速の直角90度コーナーが連なるヤス・マリーナ・サーキット。決勝は日本時間1日(日)22時10分にブラックアウトを迎え、1周5554mのコースを55周する事で争われた。この日も現地ヤス島は晴天に恵まれ、チャンピオンシップポイントを争う決勝のフォーメーションラップは気温27.6℃、路面33℃、湿度54.8%のドライコンディションで開始された。
公式タイヤサプライヤーの伊ピレリは、市街地コース用の最も柔らかいレンジ、C3からC5までのコンパウンドを投入。レースでは最低2種類のコンパウンドを使用する義務があり、今回のレースではC3=ハードタイヤが主役を務め、1ストップ戦略が主流となった。クビアトとウィリアムズの2台はハード、その他、16番グリッドのアントニオ・ジョビナッツィがソフトを選んだ事を除いて、11番手以降はミディアムをスタートタイヤに選んだ。
注目のオープニングラップでは、フロントロースタートのフェルスタッペンがバックストレートでルクレールにオーバーテイクを許し、3番手に後退した。後方では、ガスリーがレーシングポイントの2台に挟まれフロントウイングを破損。緊急ピットインを強いられ事に加えて、交換作業に膨大な時間がかかってしまい、ほぼ1周遅れの最下位でコースに戻った。一件は審議の対象となったが、レーススチュワードはお咎め無しの裁定を下した。
レースコントロールは4周目、DRSが技術的な問題で使用できないと宣言。トランスポンダーにトラブルが発生した事で、18周目になってようやく使用可能となった。パワーユニット交換に伴う最後尾スタートのバルテリ・ボッタスは、DRSが使えない状況にも関わらず、早くも9周目に入賞圏内の10番手にまで挽回した。
ルクレールはタイヤのバイブレーションを訴えペースが上がらず、ラップリーダーのハミルトンからどんどん遅れる展開に。フェラーリは13周目にダブルピットストップを敢行し、2台にハードタイヤを履かせてコースに送り出したが、左フロントタイヤの交換に手間取り、ベッテルの方は大きくタイムを失った。
2番手を走行していたフェルスタッペンは、26周目にハードタイヤに交換。ルクレールの後方13秒の位置でコースに戻った。翌周にはハミルトンがこれに反応。悠々自適にラップリーダーとしてコースに復帰した。
ピットアウトを終えたフェルスタッペンは、コーナー出口でのターボラグに不満を訴えると共に、ハンドブレーキ・エフェクトが出ていると報告。エンジンのドライバビリティに問題を抱えながらも、32周目にルクレールを豪快に仕留め2番手に浮上した。
上位2台が第一スティントを引き伸ばして着実に1ストッパーを成功させた一方で、フェラーリ勢は1ストップでは戦い切れず、ベッテルに促される形で39周目に再びダブルピットストップを行い、ルクレールはソフトを履いて3番手に 、ベッテルはミディアムを履いて6番手に後退した。
残り2周、27周目に達したハードタイヤのハミルトンが、1分39秒283のコースレコードを記録。ファステストラップポイントを1点追加し、パーフェクトゲームに華を添えた。
2019年F1第21戦アブダビGP決勝リザルト
Pos | No | Driver | Team | Laps | Time | PTS |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 55 | 1:34:05.715 | 26 |
2 | 33 | フェルスタッペン | レッドブル | 55 | +16.772s | 18 |
3 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 55 | +43.435s | 15 |
4 | 77 | ボッタス | メルセデス | 55 | +44.379s | 12 |
5 | 5 | ベッテル | フェラーリ | 55 | +64.357s | 10 |
6 | 23 | アルボン | レッドブル | 55 | +69.205s | 8 |
7 | 11 | ペレス | レーシングポイント | 54 | +1 lap | 6 |
8 | 4 | ノリス | マクラーレン | 54 | +1 lap | 4 |
9 | 26 | クビアト | トロロッソ | 54 | +1 lap | 2 |
10 | 55 | サインツ | マクラーレン | 54 | +1 lap | 1 |
11 | 3 | リカルド | ルノー | 54 | +1 lap | 0 |
12 | 27 | ヒュルケンベルグ | ルノー | 54 | +1 lap | 0 |
13 | 7 | ライコネン | アルファロメオ | 54 | +1 lap | 0 |
14 | 20 | マグヌッセン | ハース | 54 | +1 lap | 0 |
15 | 8 | グロージャン | ハース | 54 | +1 lap | 0 |
16 | 99 | ジョビナッツィ | アルファロメオ | 54 | +1 lap | 0 |
17 | 63 | ラッセル | ウィリアムズ | 54 | +1 lap | 0 |
18 | 10 | ガスリー | トロロッソ | 53 | +2 laps | 0 |
19 | 88 | クビサ | ウィリアムズ | 53 | +2 laps | 0 |
NC | 18 | ストロール | レーシングポイント | 45 | DNF | 0 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 27.6℃ |
路面温度 | 33℃ |
周回数 | 55 |
セッション概要
グランプリ名 | F1アブダビGP |
---|---|
レース種別 | 決勝 |
レース開始日時 |
サーキット
名称 | ヤス・マリーナ・サーキット |
---|---|
設立 | 2009年 |
全長 | 5281m |
コーナー数 | 21 |
周回方向 | 反時計回り |