メルセデス「現実に連れ戻された」完勝前戦から一転 ”今季最も厳しいレース”
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1台が壊れ、1台が5位に留まったシーズン最終のアブダビGPを経てメルセデスのトト・ウォルフ代表は「想定し得るあらゆるミスを冒した」と失望し、前戦ウィナーのジョージ・ラッセルは「現実に連れ戻された」と肩を落とした。
今季初の1-2フィニッシュを飾ったサンパウロGPから1週間。ラッセルは15周目の1回目のピットストップでアンセーフリリース裁定を受け、5秒のペナルティを科され5位でフィニッシュ。ルイス・ハミルトンは55周目、油圧の低下によりギアシフトが効かなくなりリタイヤを余儀なくされた。
ウォルフは「ペースはなく、1台は故障に見舞われ、もう1台はタイヤが終わるという、今シーズンの我々の課題を見事にまとめ上げたようだった。想定し得るあらゆるミスを冒してしまった」と週末を評した。
またエンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは「多くの面で不十分」だったとして、この日の結果は「正直に言って当然の結末だ」と切り捨てた。
厳しい評価を下したのは首脳陣だけではない。ラッセルは「思い出に残るレースにはなったと思うけど、僕らとしては正しいことよりも間違ったことの方が多かったようだ」と振り返った。
「今週末はペースが上がらず、できる限り頑張ったけど、現実には今シーズンで最も厳しいレースの1つになってしまった」
「カルロス(サインツ)との力強いバトルでレースをスタートしたものの、1回目のピットストップでタイムを失い、5秒ペナルティでレースが終わってしまった。残念だよ」
「クルマとの相性が良かったブラジルでの成功を経て、僕らは今回、現実に連れ戻されてしまった。今日のレースは僕らが既に分かっていた事、つまり冬の間に改善すべき多くの事があるという事を浮き彫りにしたんだ」
ハミルトンはレース1周目から出鼻をくじかれた。
カルロス・サインツ(フェラーリ)に追い抜かれた際、コース外に飛び出て縁石に乗り上げフロアを損傷。エアロバランスが崩れた状態でレースを続けたものの、最終的に油圧トラブルでクルマを降りた。
「今年の苦労が今後更なる勝利を目指して戦っていくための強さとツールになることを願うよ」とハミルトンは語った。
7度のF1ワールドチャンピオンは16シーズンに渡るF1キャリアの中でワーストとなるドライバーズランキング6位に終わり、初めて優勝もポールポジションも獲得できずにシーズンを終えた。
Hamilton got airborne in his opening-lap tussle with Sainz 😮#AbuDhabiGP #F1 pic.twitter.com/kbueHcMmPt
— Formula 1 (@F1) November 20, 2022
ただそれでも諦めて歩みを止める者はいない。誰もが2023年に向けて更なる一歩を踏み出せると信じている。
ハミルトンは「僕らは立ち上がり、そしてトライし続ける。この冬から来シーズンにかけて僕らの強さを見せつけなきゃならない」と意気込み、ラッセルは「ブラックリーやブリックスワースのチームの誰もが全力でプッシュしている。僕らは正しい方向に向かっている。来年はより強力なクルマが手に入ると僕らは確信してる」と付け加えた。
11月20日(日)に行われた2022年F1第22戦アブダビGPでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインで自身2度目のタイトルシーズンを締め括った。
全22戦のシーズンはこれで全日程が終了した。F1サーカスは冬のオフシーズンを迎える前に、11月22~23日にヤス・マリーナ・サーキットでのポストシーズンテストに臨む。