夢を息子に託して人生を捧げてきたヨス・フェルスタッペン「耐え難い状況だった…」顔面蒼白の逆転チェッカー・フラッグ

息子マックスのチャンピオン獲得記念パーカーを着てガッツポーズを取るヨス・フェルスタッペン、2021年12月12日F1アブダビGP決勝レース後のヤス・マリーナ・サーキットにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

ヨス・フェルスタッペンは自らの人生を息子に捧げる事で自身が成し遂げなかった夢を遂に叶えた。そしてその夢の実現の瞬間に立ち会った。

マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)による2021年シーズンのF1世界選手権争いは、控えめに言ってもクレイジーな展開で決着をみた。

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逆転優勝でのチャンピオン獲得を経て感傷的になり座り込んだレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年12月12日F1アブダビGP決勝レース

最終盤のニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)のクラッシュ。セルジオ・ペレスの奮闘で得たフリーストップ。そして2本のバックストレートでの火花散る攻防。それまで絶望的だった息子に突如、千載一遇のチャンスが訪れたファイナルラップは、父ヨスにとって「耐え難い」緊張感とプレッシャー、奇跡と悪夢がせめぎ合う瞬間だった。

「この場で起きた事は正気じゃなかった。誰もがこれ以上、何も出来る事がないと思っていたが、セーフティーカーの導入によって全てがリセットされたんだから」とヨス・フェルスタッペンは語った。

レース最終周の心境は計り知れない。国際映像はチェッカーフラッグ後に、顔面蒼白で今にも地面に倒れ込みそうなヨス・フェルスタッペンの姿を捉えていた。

「ラスト4・5周というところで何となく見えてくるものがあった。期待しながら、飛び跳ねつつ、まぁそんな事はどうでもいい」

「一刻も早くウィリアムズのマシンが回収されて、兎に角、ラスト1周でレースが再開される事を願っていた。私にとってはほとんど耐え難い状況だった。でも今はこれ以上ない位に幸せだ」

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息子マックス・フェルスタッペンとチャンピオン獲得を祝福する父ヨス・フェルスタッペン、2021年12月12日F1アブダビGP決勝レースにて

フットワーク在籍時の1996年にカート王者のソフィー・クンペンと入籍。翌年にマックスを授かったヨスは、現役を退いた後、自身より優れたレーシングドライバーに…との想いから、人生の多くを息子マックスに投じてきた。そして今、その夢は叶った。

ヨスにとってこれはどういう意味を保つのか? 「数分で説明できる事じゃない」と49歳の元F1ドライバーは言う。

「まさにこの日のために日々を過ごしてきたんだ。私はあいつのために自分の人生の10年、15年を犠牲にしてきた。そして遂にすべて実ったんだ。F1ワールドチャンピオンだ。これ以上のものはない。まさしく途方もない結果だ」

「私は自分達が成し遂げた事を心から誇らしく思う」

レッドブル・レーシングはこの日も積極的に手を打ってきた。最後まで希望を捨てなかった。それはマックスが決して諦めず、最後に奇跡を引き寄せると信じていたからかもしれない。

「マックスがどういう人間かは我々の誰もがよく分かってる」とヨスは語る。

「チャンスがあれば、必ずそれに向かっていくんだ。誰もがみな、その事を知っていたし、ルイスもまたそのことをよく知っていた」

「もちろん、マックスが優勝できたのは運が良かったからだが、シーズン全体を振り返ればマックスこそが真にそれに相応しかった」

「本当に誇りに思うし、チームに対しても本当に満足している。彼らは本当に懸命に働いてくれたし、この結果に本当に相応しいと思う」

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ドライバーズルームでマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)に寄り添う父ヨス・フェルスタッペン、2021年12月11日F1アブダビGPにて

F1アブダビGP特集

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