大黒柱を2名を失う可能性も? 激震レッドブルF1、ホーナーを巡る今後の展開と退任の場合のシナリオ

本拠地イギリス・ミルトンキーンズのファクトリーでF1ワールドチャンピオンに輝いたマックス・フェルスタッペンを迎えるレッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表とエイドリアン・ニューウェイ、2021年12月15日Courtesy Of Red Bull Content Pool

2024年のプレシーズンは激動の連続で始まった。F1によるアンドレッティの参戦申請却下とルイス・ハミルトンの2025年フェラーリ移籍に続き、新車「RB20」の発表を直前に控えて現役世界チャンピオンチームを巻き込む新たな事件が勃発した。

「不適切な行為」があったとの疑惑を受けレッドブルGmbHは5日(月)、レッドブル・レーシングのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーに対する内部調査を開始したと発表した。

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2021年1月22日、イギリス・ミルトンキーンズのレッドブル・レーシング・ファクトリーの全景

ホーナー自身は「断固」否定しているが、チーム代表兼CEOというチームのトップ足る個人に対する疑惑をレッドブルGmbHが「極めて真剣」に受け止め、独立した第三者グループによる調査を開始した事は注目に値する。

情報が限られている時の常だが、一件に関しては様々な憶測や未確認情報が飛び交っている。昨年末に勃発したディートリッヒ・マテシッツの死去に伴うチーム内権力闘争と結びつけて論じる報道のほか、レッドブルにとっての更なる危機を示唆する情報もある。

それはホーナーと並ぶチームの大黒柱の一人であり、F1史上最も多くの成功を収めてきた天才エンジニア兼デザイナーの去就に関するものだ。

詳細不明の「不適切な行為」が事実と認められホーナーが退任を余儀なくされた場合、エイドリアン・ニューウェイもホーナーの後を追ってチームを去る可能性があるという。

F1ジャーナリストのジョー・サワードは、ホーナーとニューウェイはレッドブルとの契約に「互いを守る」条項を設けている可能性があり、ホーナーが退任を余儀なくされる事態に直面した場合、この条項は「興味深い動き」を引き起こす可能性があると指摘した。

サワードによるとこれは「長年に渡って」信じられてきた確認が取れていない「噂」に過ぎないが、二人の契約書には一方がチームを離れた場合、もう一方も契約を解除してチームを去る事ができるとする条項があるとされる。

ホーナーに加えてニューウェイが去るというシナリオが現実に起こり得るものである場合、レッドブルGmbHの悩みのタネは倍増する。

仮に二人が同時に去るような事態になればフェラーリの展望は一気に開ける事になる。ハミルトンと複数人のキーマンをマラネロに引き入れる事でメルセデスは弱体化する恐れがあり、ホーナーとニューウェイを失ったレッドブルもまた求心力を失い混乱に見舞われる可能性がある。

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優勝を喜ぶレッドブルのエイドリアン・ニューウェイ、マックス・フェルスタッペン、クリスチャン・ホーナー、2022年7月24日F1フランスGP

レッドブルは疑惑の中身を明らかにしていないが、英紙「Times」によると、同じチームで働く同僚女性がホーナーの「不適切な行為」についてレッドブルGmbHに苦情を申し立てたという。独「Bild」はホーナーが従業員に送った写真に関するものと見られると報じた。「アグレッシブな経営スタイル」が原因との情報もある。

独「Motorsport-Magazine」は内部関係者の話として、ホーナーはレッドブルGmbHの役員会での支持を失っていると報じた。また、ホーナーの伝統的な支持者と考えられているタイの筆頭株主から支援が得られるかどうかは調査結果次第との見通しを合わせて伝えた。

ホーナーが実際に「不適切な行為」を働いたのかどうかを含めて現時点で明らかになっている事は殆どないが、一つ確かな事は、レッドブルは早期の決着を望んでいるということだ。なんとしても2月15日(木)までにすべてを終わらせる必要がある。

この日は2024年型F1マシン「RB20」のローンチイベントが行われる日であり、1週間後にはバーレーンでプレシーズンテストが開幕を迎える。独「AMuS」によると2月9日(金)にホーナーを含めた関係者に対する聞き取り調査が行われる。

調査を担当する弁護士グループがコンプライアンス違反によるホーナー解任の必要性を認めた場合、レッドブルは早急に後任を決定しなければならない。

マーケットで利用可能な人材としては、マッティア・ビノットやオトマー・サフナウアー、ギュンター・シュタイナーといった何名かのF1チーム代表経験者が挙げられる。内部昇格としてはスポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーが有力視される。

いずれにせよレッドブルGmbHには、調査とその決断において完全な透明性が求められるところだ。

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