角田裕毅のレッドブルF1テスト、”昇格の道”を切り開くものではない? ホンダの後押しで実現迫るも
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角田裕毅(RBフォーミュラ1)は2024年シーズン終了後の12月のアブダビで、待望のレッドブルでのF1テストに参加する可能性があるが、これは必ずしも昇格に向けた道が切り開かれつつあるということを意味するものではないかもしれない。
ニック・デ・フリースを圧倒した昨年に続いて角田裕毅は今年、8度のグランプリウィナー、ダニエル・リカルドを上回る競争力を発揮したが、それでもなおレッドブルは、マックス・フェルスタッペンのチームメイト候補として角田裕毅を昇格させることに消極的だった。
角田裕毅がレッドブルから、同チームのマシンをドライブするチャンスを与えられたのは、先月、台湾で行われたプロモーションイベントと、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードでの2回のみで、いずれも単なるデモ走行だった。
しかしながら、今回初めて角田裕毅がレッドブルのマシンを本格テストする可能性が浮上している。
英PlanetF1によると、F1第20戦メキシコGPの開幕を前に角田裕毅は、「多分、テストは行われると思います。ただ、レッドブルのことなので、実際にその日が来るまでは分かりません」と慎重な姿勢を見せつつも、「この話は直接、彼ら(レッドブル)から聞いたものです」と語り、チャンスに向けた期待を明らかにした。
ホンダの支援でテスト実現へ
待望のレッドブルでのテストが実現に向けて動き出しつつあるのは、レッドブル及びRBにパワーユニットを供給するホンダの強い後押しがあったためだ。
角田裕毅は「過去に僕は、何度もテストを求めてきましたが、実現することはありませんでした」「僕を助けるために、ホンダがテストを促してくれたのは確かです」と語った。
具体的にどのような場で、どのマシンをドライブすることが検討されているのかは定かでないが、アブダビでのタイヤテストで今季型RB20のステアリングを握る可能性が考えられる。仮にそうでないとすれば、2022年型RB18を走らせる旧車テストプログラムが挙げられる。
実現しても昇格の道は遠い?
テストを通してフェルスタッペンやセルジオ・ペレスと直接、比較可能なデータをもたらし、レッドブルの首脳陣に十分レベルなパフォーマンスを見せたとしても、それが角田裕毅の将来に大きな影響を与えることはないかもしれない。
レッドブルは長年に渡って、ドライビング中の角田裕毅の感情のコントロールに対し疑問を抱いてきた。当然に、シーズンを経る毎に改善しているものの、どのような話題を挙げ、それをどのように伝えるか、さらに技術的なフィードバックという点で、依然として懐疑的な見方をしているふしがある。
これについては角田裕毅も認めており、特に「無線でのコミュニケーション」についてレッドブルが、「思うほどに改善できていない、あるいは必要なレベルに達していない」と考えている可能性を指摘した。
また、「僕はこれまで、様々なチームメイトを上回ってきましたが、それでも、たった1日であってもテストに参加できずにいましたので、こういう状況には慣れています。僕の知り得ない何か、別の要因があったのかもしれません」とも語った。
そもそもドライビングに関しては、ある程度、その実力は証明済みだ。週末、シーズンを通した一貫性はもちろん、予選に至るまでは決して無理をせず、クルマを不用意に壊すこともなく、誰よりも多くのポイントをチームに持ち帰る。
昇格に向けた障害になっているのがコース上でのパフォーマンスでないのだとすれば、見込まれるテストはさほど大きな役割を果たさないかもしれない。
課題はもう一つある。RBのチームメイト、リアム・ローソンだ。
前戦アメリカGPでの1年ぶりのF1復帰戦でローソンは、同じVCARB 01をドライブした角田裕毅を上回る9位入賞を飾った。
この背景には、14位に終わった角田裕毅とは異なる「かなりアグレッシブなセットアップ」、そしてハードスタートでの1ストップ戦略という2つの要因があるため、リザルトの違いがそのまま評価を決定づけることはないだろう。
しかしながら、約1年ぶりのF1ドライブ、走行未経験のサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)、そして週末を通したプラクティスが僅か60分間に限られるスプリント・フォーマットという3つのポイントを踏まえると、予選Q1での圧倒的なスピードはやはり印象的で、チームメイトがスピンを喫してポジションを落とす中、レースで結果を残したことは大いに称賛されるべきことだった。
クリスチャン・ホーナー代表とヘルムート・マルコの両名はともに、2025年に向けたペレス交代の可能性を除外していない。このテストがどれだけの意味を持つのかはさておき、角田裕毅あるいはローソンのいずれかが来年、フェルスタッペンの隣でドライブする可能性は十二分にある。