角田裕毅の”RB”、突如として呼称とロゴが”VCARB”に変更「そう呼ばなければならない」

2024年第5戦中国GPと第6戦マイアミGPでの放送グラフィックにおけるRBチーム(VCARB)のロゴ比較copyright FORMULA 1

2024年シーズンの4戦を経て恐らくはチーム側からF1に対し、自分達を「RB」や「レーシング・ブルズ」ではなく「VCARB(ヴィーカーブ)」と明記、呼称するよう正式に要請があったのだろう。

第6戦マイアミGPより突如、放送グラフィックにおけるファエンツァのチームのロゴが変更された。ロゴを構成するタイポグラフィが「RB」から「VCARB」に変わったのだ。

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放送用グラフィックに表示されたRBチーム(VCARB)のロゴ、2024年第6戦F1マイアミGP

ただ、変更されたのはロゴに留まらない。新チーム名の発表とラスベガスでのローンチイベントが行われた今年頭以降、世界的に論争の種となっていたチーム名称についても動きがあった。

第5戦中国GPの開幕に先立ちF1公式デジタル・プレゼンテーターのウィル・バクストンはF1 TVの中で、上海の路面の変化についての話に続いて話題をRBチームに切り替える際、「VCARB、について話をしよう」と語り、”VCARB”を強調的に発音した。

そして、角田裕毅とダニエル・リカルドを擁するチームをVCARBと呼んだ理由について「我々は彼らをそう呼ばなければならないからだ」と説明し、フォーミュラ・ワン・マネジメント(FOM)から指示があった事を仄めかした。

もちろん主導したのはFOMではなくチーム側だろう。F1 TVのみならず各国の放送事業者に対しても「VCARBと呼ぶように」とのお達しがあったものと推測される。

なおロゴに関しては、あくまでも放送用に限った変更であり、チームの公式サイトや公式プレスリリースに掲載されているロゴに変化はなく、雄牛の背景に記されているタイポグラフィは「VCARB」ではなく「RB」のままだ。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

2024年型F1マシン「VCARB 01」のフロントウイングに掲げられたビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1チームのロゴ

過去4シーズンに渡って「スクーデリア・アルファタウリ」の名でF1に参戦してきた伊ファエンツァのチームは今年1月、タイトルスポンサー契約と合わせて新たに「ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1チーム」を名乗ると発表した。

「VISA」は米国の決済会社で、「Cash App」はTwitter共同創業者のジャック・ドーシーが共同設立したモバイル決済サービスだ。スポンサー名を全面に押し出したこのエントリー名が発表された際、その拝金主義的な雰囲気、冗長性、そしてチーム・アイデンティティの希薄さに対して厳しい批判が寄せられた。

F1の本国である英国メディアの中には「F1史上最悪の名前」であり「レッドブルとF1全体にとって恥ずべき」と酷評する者や、『2073年に「Visa Cash App RB」がまだ存在している確率を誰か教えてくれないだろうか?』と皮肉る者もあった。

ファンとメディアに混乱が広がる中、時を経て「RB」または、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが呼ぶように、運営母体の企業名を取った「レーシング・ブルズ」の呼称が落ち着き始めた最中、これを「VCARB」に統一する動きが現れた。

「VCARB」は「Visa Cash App RB」の略語である。したがって、早ければ2026年末を以てこの世から姿を消す可能性がある呼称というわけだ。

公表はされていないものの、関係者の証言からRBの現行タイトルスポンサー契約は2024年から2026年までの3年契約である事が判明している。契約が更新されない場合、2027年シーズンを前に「ビザ・キャッシュアップRB」は消えて無くなる運命だ。

VISAとCash Appの運営企業は全くの別会社だが、「ビザ・キャッシュアップRB」はVISAとの契約によるものとされている。これは別途の新たな契約がない限り、契約終了によって「ビザ」だけが抜け「キャッシュアップRB」となる可能性がないという事を意味する。

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