走りや戦略、才能ではなく単なる”運”…角田裕毅とノリス、溢れる「赤旗タイヤルール」への悔しさ

決勝レースを経てインタビューに答える角田裕毅(RBフォーミュラ1)とランド・ノリス(マクラーレン)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)copyright FORMULA 1

赤旗によってライバルが決定的なゲインを得たが故に、ポジションを大きく失った角田裕毅(RB)とランド・ノリス(マクラーレン)は、2024年のF1サンパウロGPでトップ7フィニッシュを果たしながらも、落胆と失望を抱えていた。

”赤旗タイヤルール”がもたらした逆転劇

ノリスはポールポジション、角田裕毅はキャリア最高位の予選3番手を掴み取り、雨で混乱に見舞われたレース序盤をトップ3で消化したが、32周目のフランコ・コラピント(ウィリアムズ)の大クラッシュに伴い赤旗が振られたことで、順位を大幅に落とした。

雨脚が悪化したことで30周目に導入されたセーフティーカーのタイミングで二人は、他の大部分のドライバーと同じようにタイヤを交換した。一方で、アルピーヌ勢とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)はステイアウトしてトップ3に浮上すると、これに続く赤旗中に、タイムをロスすることなく新しいタイヤに履き替えた。

レースが再開されると、フェルスタッペンはエステバン・オコンを交わしてトップチェッカーを受けた。3位表彰台にはピエール・ガスリーが続いた。

タイトルを争うノリスにとって、フェルスタッペンが17番グリッドに留まったこの日のレースは、フェルスタッペンが持つリードを大幅に縮めるチャンスであったが、その差は逆に62ポイントに拡大した。残り1スプリント、3レースでの逆転タイトルは、ほとんど絶望的だ。

角田裕毅にとっても、本来であれば大量得点によってハースからコンストラクターズ選手権6位の座を奪還する絶好のチャンスであったが、逆に、9位と低迷していたアルピーヌに交わされ、8位に後退する結果となった。

走りも戦略も良かった、と角田裕毅

Courtesy Of Red Bull Content Pool

エステバン・オコン(アルピーヌ)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)をリードする角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

トップ3を走行しつつも不運な形でポジションを失って7位でフィニッシュしたことの感想を求められた角田裕毅の表情には、笑みも満足感も見当たらず、予選直後のインタビューとは好対照だった。

「自分の走りには満足しています。…戦略も良かったと思いますが、運がこちらに向いてくれませんでした」と角田裕毅は語った。

「スタートは良かったですし、フルウェットタイヤへの切り替えも正しい判断でした。ですが残念ながら赤旗が出てしまい…、それによってアルピーヌがかなりのゲインを得て2位と3位でフィニッシュし、コンストラクターズ選手権で僕らを抜いて6位になりました」

「ポイントと結果を最大化できず残念です。…ただ、チームとして、2台揃ってポイントを取れたことは重要だと思います。それに、特に僕個人にとっては、全体的にはポジティブだったと思います」

逆転を許したとは言え、アルピーヌとの差は5ポイントだ。シーズン最後のトリプルヘッダーでの挽回の見込みについて尋ねられると、深いため息をついた後、「そうですね、、大きく離されたわけではないので、今後のレースで力強く挽回できるよう、全力を尽くしていきます」と答えた。

才能ではなく単なる運、とノリス

Courtesy Of Red Bull Content Pool

スタート直後のターン1でランド・ノリス(マクラーレン)を交わしてトップに躍り出たジョージ・ラッセル(メルセデス)、2024年11月3日(日) F1サンパウロGP(インテルラゴス・サーキット)

赤旗下で自由にタイヤを交換できる現行のルールは度々、批判の対象となってきた。ノリスは、これがこの日のレースで違いを生んだ要因だと主張した。

「レッドフラッグ中はタイヤを交換できる。他のドライバーの結果はそのおかげだ。運がなかった」とノリスは語った。

ジョージ・ラッセル(メルセデス)からリーダーの座を奪還すべく、チームに対してピットインを強く求めていたノリスは、戦略面で誤ったわけでもないと語った。

「僕らは何も間違ったことはしていない。誰が何と言おうと、ステイアウトは正しい選択じゃなかった」

「本来は赤旗が出されるような状況じゃなかったんだ。でも結局はクラッシュが原因でそうなった。時には、どうしようもないこともある」

「ギャンブルに出たことで、彼らは幸運を手にした。これは才能じゃない。単なる運だ」

ノリスは赤旗後のリスタートで4番手につけていたものの、ラッセルとシャルル・ルクレールに次ぐ6位でフィニッシュした。

「幾つかミスをしてしまった。右も左も他のクルマに囲まれて、リアをロックさせてコース外に飛び出し、ポジションを2つ落としてしまった。残念だけど、あれは僕のミスだ」とノリスは認めた。

「完璧なレースをこなせたわけじゃないけど、何であれ、ピットストップをして不運に見舞われたグループの中で出し得たベストリザルトは4位だったと思う」

ノリスと角田裕毅は、ラッセルとリアム・ローソンとともに、レース開始中断合図を無視したとして調査を受けた。スチュワードはノリスとラッセルに処分を下し、角田裕毅とローソンをお咎めなしとする決定を下した


2024年F1第21戦サンパウロGPでは、17番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾り、2位にエステバン・オコン、3位にピエール・ガスリーが続き、アルピーヌがW表彰台に上がる結果となった。

ラスベガス市街地コースを舞台とする次戦ラスベガスGPは、11月21日のフリー走行1で幕を開ける。

F1サンパウロGP特集

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