F1アメリカで計4件…角田裕毅に”軽減懲罰”を科したスチュワード、ノリスやガスリー及びラッセルとの共通点と相違点

アレックス・アルボン(ウィリアムズ)をリードする角田裕毅(RBフォーミュラ1)、2024年10月20日(日) F1アメリカGP決勝レース(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)Courtesy Of Red Bull Content Pool

56周に渡って行われた2024年のF1アメリカGPでは、角田裕毅(RB)に加えて、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)とジョージ・ラッセル(メルセデス)、そしてランド・ノリス(マクラーレン)の4名に対し、「軽減」の5秒ペナルティが科された。

科されたペナルティそのものは同じだが、一部には共通点を持ちつつも各々のケースは僅かに異なり、通常であれば10秒であるはずの軽減の理由もまた、それぞれ異なっていた。

「故意に非ず」角田裕毅とラッセルのケース

角田裕毅はレース中盤の14番手争いの最中、ロングストレート終端のターン12で、アレックス・アルボン(ウィリアムズ)をコース外に押し出し追い抜いたとして、5秒ペナルティを受けた。

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F1アメリカGPの舞台、サーキット・オブ・ジ・アメリカズのコースレイアウト図

FIAドライビング標準ガイドラインは、コーナーのイン側からオーバーテイクする際、相手のドライバーをコース外に追いやることなく、「十分なスペース」を残さなければならないと定めている。

デレク・ワーウィックを含む4名の競技審判団は、角田裕毅がこれに違反したと判断したが、同時に「22号車は終始、クルマをコントロールしていた」と指摘し、また、コース外に追い出した行為は「故意によるものではなかった」と判断した。

通常、同様の違反には10秒のタイムペナルティが科されるが、スチュワードは先の状況を踏まえ、「軽減措置」として半分の5秒ペナルティを科した。

同じくターン12でバルテリ・ボッタス(ザウバー)を交わしたジョージ・ラッセル(メルセデス)も、同様の理由により軽減の5秒ペナルティを受けた。

永続的アドバンテージを得たガスリー

同じく5秒を科されたガスリーのケースは、状況も理由も先のケースとは異なる。

ガスリーはターン15のアウト側からアルボンに仕掛け、コーナーの出口で「一時的」に遅れを取ったため「コーナーに対する権利」を失ったとみなされたものの、コース外から戻ってアルボンの前に出たため、「永続的なアドバンテージ」を得たと判断された。

これはガイドラインではなくF1競技規定第33条3項違反に該当する。

10秒ではなく5秒に軽減されたのは、一瞬とは言えガスリーが「コーナーに対する権利」を保持していたためだ。

ノリス:限られた選択肢

3位表彰台を決定づけたノリスに対する5秒ペナルティは、ガスリーのケースに類似するが、軽減の理由が異なる。

ターン12のアウト側からマックス・フェルスタッペン(レッドブル)に仕掛けたノリスは、コーナーのエイペックスでフェルスタッペンと同一線上に到達できず、その状態でコースアウトし、コースに復帰するに際してフェルスタッペンの前に出たと判断された。

これは「コーナーに対する権利」を一瞬たりとも得ない状態でコース外に出て「永続的なアドバンテージ」を得たケースに該当する。では軽減の理由は何なのか?

スチュワードは、フェルスタッペンが接近していたため、ノリスにはコース外に出る以外の選択肢がほとんどなかったとの判断を下し、これを軽減理由として5秒ペナルティを科す決定を下した。

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