日本人ドライバーのF1での成功例が殆どない3つの理由、角田裕毅とガスリーが指摘
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日本は世界的に類を見ないほど熱狂的なレースファンを抱える一方、日本人ドライバーのF1での成功事例は殆どない。その理由は何処にあるのか?
中嶋悟、鈴木亜久里、佐藤琢磨、そして小林可夢偉など、F1にフル参戦した日本人ドライバーは角田裕毅を含めてこれまでに10人いるが、いずれも優勝やチャンピオン獲得には至っていない。
鈴鹿サーキットで行われたF1日本GPの木曜会見で角田裕毅(RBフォーミュラ1)はこの質問に対して、F1の本場である欧州との地理的な距離、シングルシーターのライセンス取得に関わる年齢制限、そして言語の違いが、日本人ドライバーがF1で成功する上での障害となっているとの考えを示した。
「まずはヨーロッパからとても遠いということです」と角田裕毅は語る。
「スーパーライセンスを取得するためには主に、ヨーロッパのジュニアカテゴリーでレースをして、できるだけF1チームの近くにいて注目を集めたり、関心を引きたいと思うものだと思います」
「それにレギュレーションも少し異なります。ヨーロッパと日本では、例えばシングルシーターでレースを始めることができる年齢に少し違いがあります」
「日本は16歳からですが、たしかヨーロッパは14歳からだったと思います。なので2年の差があるわけですが、これが競技開始の遅れに繋がっています」
「そのためヨーロッパでレースをしなければならず、そのせいで(日本人ドライバーは)少し難しい状況にあると思います」
「また、言語の問題もあります。日本人は僕のように英語があまり上手くありません。なので、例えばクルマのセットアップについて、具体的に何を望んでいるかを上手く伝えるのが難しいという事情もあります」
スーパーフォーミュラの参戦経験を通して日本のシングルシーター事情を知るピエール・ガスリー(アルピーヌ)も角田裕毅の見解に同意した。
「ユーキが上手く説明したと思う。みんな知っての通り、主だったカテゴリーは全てヨーロッパにある」とガスリーは語る。
「振り返ってみると佐藤琢磨や中嶋(一貴)、そしてユーキを含めて、これまでに多くの日本人ドライバー達がヨーロッパにやってきてF3やF2でレースをしてきた」
「アメリカ人ドライバーについても同じことが言えると思う。アメリカは巨大な国だけど、F1にはアメリカ人ドライバーがあまりいない」
「思うにその理由の幾つかは、レースが主にヨーロッパで行われていること、そしてユーキがさっき言ったように、F1への階段を上るためには、まさにここにいる必要があるということなのだと思う」
今年はTOYOTA GAZOO Racing WECチャレンジプログラムのドライバーである宮田莉朋がロダン・モータースポーツからF1直下の登竜門、FIA-F2選手権に挑戦している。
自身の存在と活躍が、将来的な日本人ドライバーのF1参戦や、F1で成功するための道を切り開く可能性があることを自覚しているか?と問われた角田裕毅は「そう願っています」と答えた。
「これまでに多くの日本人ドライバーがF2に参戦してきました。中にはトヨタといった違うメーカーの日本人ドライバーもいます」
「多くのドライバーが最善のチャンスを求めてヨーロッパのレースに挑戦するのは良いことだと思っていますし、さらに多くのドライバーが見れればと願っています」