時に合法スレスレ…ルクレールと皇帝シューマッハの類似点を指摘するジャン・トッド

ミハエル・シューマッハとシャルル・ルクレール

スパとモンツァで2勝を挙げ、一気にブレイクスルーを果たしたシャルル・ルクレール。闘争本能むき出しのドライビングスタイルに疑問を呈する声が上がる中、FIA国際自動車連盟のジャン・トッド会長は、かつてフェラーリの黄金時代を先導した皇帝ミハエル・シューマッハとの類似点を指摘する。

ジャン・トッドはフェラーリのチーム代表としてコンストラクターズタイトルでの6連覇と、ミハエル・シューマッハのチャンピオンシップ5連覇を果たし、両選手権でのダブルタイトルを5年間保持し続けた。トッド会長の息子ニコラスは現在、シャルル・ルクレールのマネジメントを担当している。

「シャルルのメンタル面の強さは驚異的だ」とジャン・トッド会長。独Auto Bildとのインタビューの中で、史上最多7冠を達成したミハエル・シューマッハと、F1デビュー2年目を迎えた21歳のルクレールを比較した。

「彼は偉大なチャンピオンへと邁進しており、かつてのミハエル・シューマッハがそうであったように、チームを引っ張っていく天性の才能を持ち合わせている。彼は将来のフォーミュラ1とフェラーリの双方を背負って立つだろう」

若きモナコ人ドライバーは自身について「神経質とは無縁でプレッシャーを全く感じないタイプ」と評し、一旦バイザーを閉めると、一切の妥協なくアグレッシブに、時として合法スレスレのラインまで攻め立てる。

ルクレールの活躍によってフェラーリはベルギーとイタリアでの2連勝を達成。マラネロは大いに勢いづいた。だが、モンツァでの決勝では、ルイス・ハミルトンをランオフエリアに追いやり黒白旗裁定。スポーツマンシップに反するとして警告を受けた。

またその前日の予選では、チーム側との事前の取り決めに反してセバスチャン・ベッテルにトウを与えず、マッティア・ビノット代表とベッテル双方が不満を示す場面もみられた。

1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ヴィルヌーブは「モンツァでのルイスとの決闘において、彼は全くフェアではなかった。ランオフエリアに追いやった挙げ句、幾度となく走行ラインを変更した。他のドライバーであればペナルティーを受けただろうが、シャルルはここがフェラーリの聖地であり、限界を試せるチャンスがある事を明確に認識していた」と語り、ルクレールに潜む狡猾さを指摘した上で、それはチャンピオン獲得に必要な資質だと述べた。

セバスチャン・ベッテルはルクレールとは対照的だ。元F1ドライバーのゲルハルト・ベルガーは4度F1を制したセバスチャン・ベッテルは「誠実すぎる」と評し、「世界選手権が絡むようなトップレベルのスポーツにおいて、誠意はほとんど役に立たない」と注意を促した。

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