鈴鹿が暴き出したメルセデスF1の決定的弱点とは、ハミルトンとラッセルは存在感を示せぬままに日本を後にするのか?
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ルイス・ハミルトンは鈴鹿サーキットでの苦戦によってメルセデスのF1マシンが抱える弱点が露呈したと考えており、それは2024年に向けて確実に改善しなければならない決定的なものだと主張する。
2023年のF1日本GP予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がF1史上稀に見る見事な走りでパドックの度肝を抜いた。2番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)との差は0.581秒と、この20年来の鈴鹿におけるポールギャップとしては最大の開きを記録した。
対抗馬として期待されたマクラーレンでさえ全く相手にされず、フェラーリやメルセデスに至っては完全の蚊帳の外だった。特にS字を擁する高速コーナー連続するセクター1での遅れが目立った。
敗因について、フェルスタッペンから1.031秒落ちの7番手に留まったハミルトンは「予選では全力を尽くしたけど、セクター1でのコンマ7秒の遅れはすべて、リアエンドのダウンフォース不足が原因なんだ」と説明する。
「僕らのクルマは、フロントの荷重は十分にあるけど、求めているほどリアの荷重は足りていない」
ハミルトンによれば、これはセットアップの問題ではなく、長きに渡って取り組んできたものの改善されない課題、つまりW14の基本的な方向性に起因するもので、来年に向けてクルマの「コンセプト」を「確実」に変更しなければならないのは「100%明らか」だと主張した。
1週間前のシンガポールで優勝争いに絡む競争力を発揮したメルセデスはなぜ、鈴鹿でこれほど苦戦しているのだろうか?
ハミルトンからコンマ3秒遅れの8番手に留まった僚友ジョージ・ラッセルは「コーナーのコントラストが大きいサーキット、つまり高速と低速が両方あるような場合、僕らはそれら全てをカバーするのに苦しむ傾向にあるんだ」と説明する。
「シンガポールのように、1つのタイプのコーナーしかないサーキットだと、クルマのスイートスポットを的確に捉えてダウンフォースを最大化することができるんだけどね」
エンジニアリング・ディレクターを務めるアンドリュー・ショブリンは、初日の苦戦はセットアップ変更に依るところがあったとしつつも、結局のところは「鈴鹿のコーナースピードレンジに起因」する問題だと強調する。
「シーズンを通して我々は低速コーナーのパフォーマンスを向上させてきたが、特に鈴鹿の第1セクターでは、一定のライドハイトと共に多くのダウンフォースが要求される。W14はこの点において最強のクルマではない」
メルセデスは存在感を示せないままに日本を後にするのだろうか? レースでは主に、前に並ぶフェラーリが直接的なライバルとなることが予想されるが、シルバーアローには戦略的優位性がある。
それは跳馬と比べて新品のハードタイヤが1セット多い事だ。路面温度の高さから、今週末は予想よりもデグラデーションが大きく、最低でも2ストップ、場合によっては3ストップの可能性も考えられる。
加えてW14は全体としてレースペースが良好だ。タイヤのアドバンテージを活かしての巻き返しに期待したい。