角田裕毅の巧みなレース「言葉では言い表せない」とアルファタウリ、名誉挽回の今季ベスト6位でチーム前進
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多くを失望させたメキシコでの接触事故から1週間。F1第21戦サンパウロGPのスプリントに臨んだ角田裕毅(アルファタウリ)は、6位フィニッシュを果たして自らの名誉を挽回した。スプリントと決勝の区別に関わらず、これはアルファタウリにとっての今季最上位だった。
24周で争われたインテルラゴス・サーキットでのショートレースの上位8名にはチャンピオンシップ・ポイントが与えられた。角田裕毅が3ポイントを持ち帰った事でアルファタウリはアルファロメオを引き離し、コンストラクターズ選手権7位のウィリアムズに対して9点差に詰め寄った。アルファタウリはこれまでスプリントで入賞した事が一度もなかった。
7度のF1ワールドチャンピオン、ルイス・ハミルトン(メルセデス)を残り3周で交わして6位チェッカーを受けた角田裕毅に対してレースエンジニアを務めるマッティア・スピーニは「ユーキ、6位だ。言葉では言い表せないほど素晴らしいレースだった。おめでとう。ファンタスティックだ」と声をかけた。
メキシコGPでは機を待たずに追い抜きを仕掛けた事で接触事故を引き起こし、大量ポイントのチャンスを逃した。その僅か数日後のブラジルで、シーズン終盤に向けて表彰台を連発するメルセデス相手に角田裕毅がオーバーテイクを決め、チームに史上初のスプリントポイントをもたらすなど、一体誰が予想しただろうか。
イベント2日目を最高の形で締め括った角田裕毅は「まずはチームを心から祝福したいと思います」と振り返った。
「昨日は僕らの日ではありませんでしたが、今日は見事に逆転する事ができました。グランプリに向けた昨日の予選が16番手で、スプリントに向けた今日が6番手というのは、正しい方向に向かって大きな一歩を踏み出せた事を示すものだと思います」
「クルマに関して言えば、ドライブしていて楽しかったのですが、どうして昨日と今日でこれほどの違いがあったのかを突き止めなければなりません。ドライビングの面で改善できる場所が幾つかある状況の中、SQ3の最終ラップはこれまでのベストラップでした。良いポジションからスプリントをスタートする事ができたと思います」
「スプリントではチャンスを最大限に活かして、今シーズンの最高位となる6位でフィニッシュしました。あと数周あれば5位をかけてルクレールと戦えたかもしれません。今日のレース運びには満足しています。クルマのペースは特にレースで力強かったです」
僚友ダニエル・リカルドも幾度となく、カルロス・サインツに対して往年の走りを感じさせる鋭いブレーキングを見せたが、ポイント獲得にはコンマ2秒届かなかった。
アルファタウリは奇しくもブラジルのスプリントで、2台揃って同じイタリアを本拠とするレジェンドチーム、フェラーリを追い詰めた。
ただ日曜の本戦は2台共にトップ15圏外からのスタートとなる。ポイント獲得は非常に険しい道程になるだろうが、角田裕毅は諦めていない。
「ダニエルも良いペースだったので、チームの力が大きかったと思います。彼らのハードワークがなければ、あのようなポジションにはいなかったと思います。明日のレースが楽しみです」と角田裕毅は語る。
「良いリズムを掴んで走れているので、これをベースにして、明日は更に良いパフォーマンスを発揮できればと思っています。後方からのスタートなので楽ではありませんが、クルマが良い事は分かっているので、できるだけオーバーテイクしてポイントを狙っていきたいと思います」
2023年F1サンパウロGP決勝レースは日本時間11月5日(日)26時にフォーメーションラップが開始され、1周4,309mのインテルラゴス・サーキットを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。