レッドブルの許可が得られず…ル・マン24時間ウィナーになり損ねたダニエル・リカルド
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今季限りでルノーを去るダニエル・リカルドは、来年マクラーレンへと移籍する。新たに上司となるチーム代表のアドレアス・ザイドルと初めて出会ったのは、ポルシェLMP1チームからル・マン24時間レースへの参戦を検討していた2015年のことだった。
ポルシェはこの年のFIA世界耐久選手権(WEC)第3戦として開催されたル・マン24時間レースに3台目のポルシェ919ハイブリッドを投入し、当時フォース・インディアのドライバーだったニコ・ヒュルケンベルグとアール・バンバー、ニック・タンディにステアリングを握らせた。
ポルシェは第2戦まではアウディの後塵を拝していたものの、伝統のル・マンではヒュルケンベルグ擁する19号車がチームにとって1998年以来となる17年ぶり、通算17回目の総合優勝を勝ち取った。現役F1ドライバーとしてのルマン制覇は24年ぶりのことだった。
2015年当時、ポルシェLMP1チームを率いていたアドレアス・ザイドル代表は、リカルドとの間で数回に渡ってルマン参戦に関する話し合いを行ったものの、レッドブル・レーシングの許可を得る事が出来なかったと明かした。
「残念ながら彼はその時、プロジェクトに参加する許可を得る事が出来なかったんだ」とアドレアス・ザイドル代表は説明する。
「もしドライブしていれば彼にとっても我々にとっても興味深い経験になったはずだ。彼がドライブする事になっていたマシンは実際にル・マンで優勝しているからね」
「ダニエルはF1でのキャリアを通して、私が昔からずっとフォローし続けていたドライバーだった。コース上でのパフォーマンスはもちろんのこと、クルマに乗っていない時の彼の前向きな姿勢、人間性が好きだったんだ。これは(マクラーレンに加わる来年以降)私やチームにとって凄く意味のある事だと考えている」
「来年に向けて契約を結べてただただ嬉しいし、1月に彼がチームに加わるのを楽しみにしている」
ポルシェはこの時、リカルド以外にも2度のF1ワールドチャンピオンであるフェルナンド・アロンソやジャン=エリック・ベルヌらF1ドライバーとも接触していたが、最終的にチャンスを得たのはヒュルケンベルグだった。
マクラーレンのアドレアス・ザイドル代表
リカルドはバーレーンの週末を前に行われた記者会見の中で、アドレアス・ザイドル代表と最初に接触したのは、ルマン参戦について世間話をした2014年であった事を明かしている。
ポルシェとの話し合いが行われた2015年当時、リカルドはトロロッソからレッドブルへと昇格した2年目を過ごしていた。このシーズンは優勝3回を含む表彰台8回を記録してランキング3位につけ、4度のF1ワールドチャンピオンであるチームメイトのセバスチャン・ベッテルを完璧に退けてみせた。飛躍の年だった。
リカルドはアドレアス・ザイドル代表について「共に仕事をした事のある人達が非常に高く評価している」等として、ウォーキングのチームに加わる来年以降は、”スポンジ”のようにその豊富な経験から学び成長していきたいと意気込んでいる。
「若い時は特にそうだけど、このスポーツに長くいる経験豊富な人たちを頼る事が大切だ。”スポンジ”のように、彼らからその教訓を学んでいかなきゃならない」とリカルド。
「僕には意地っ張りなところもあるけど、自分のために学び、成長し続けたいと思っているという意味では頑固だとは思っていないし、そうであるからこそ、そういった人達から色んな事を学べてこれているんだと思う」