激震…エイドリアン・ニューウェイ、レッドブルF1離脱との報道…2025年に向けて移籍へ
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チームの最高技術責任者(CTO)を務めるエイドリアン・ニューイがレッドブル・レーシングを去るとの報道が欧州現地4月25日(木)、噴出した。2025年に向けてライバルチームに移籍する意向だとされる。
英「BBC Sport」によると、「空力の鬼才」と称され、パドックから高く評価されている65歳のイギリス人エンジニア兼デザイナーはレッドブルに移籍を願い出たという。独「auto Motor und Sport」も同報道に先立ち、移籍の可能性をいち早く報じた。
伝えられるところによるとニューウェイは、チーム代表のクリスチャン・ホーナーを巡る疑惑に伴う物議、チーム内の権力闘争、そして自身をF1プロジェクトから完全に外し、RB17ハイパーカーの開発に専念させるというチームの計画に不満を抱いているという。
不適切な行為があったとして女性従業員がホーナーを告発した今年2月以降、レッドブルは混乱に見舞われており、これを背景にホーナーを支持するタイの大株主側と、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコを含むオーストリア本社側との間で権力闘争が勃発した。
2025年シーズンよりライバルチームに移籍すべくニューウェイは、2025年末までのレッドブルとの契約を途中解除する事を希望しているとされるが、移籍先がどこになるかは不明だ。
通常であれば2025年末までチームを離れる事はできず、ガーデニング休暇を1年とすると、他チームに合流できるのは早くとも2027年となるが、ニューウェイには何らかの交渉材料があるのだろう。
ローレンス・ストロール会長が今春、獲得に向けて巨額のオファーを提示したと報じられたアストンマーチンやメルセデスがニューウェイの獲得に興味を持っているとされるが、フェラーリが濃厚との見方がある。
スクーデリアはこれまで幾度となくニューウェイの引き抜きを試みてきた。2025年に向けての移籍が実現した場合、マラネッロの伝説的チームは7度のF1王者ルイス・ハミルトンとシャルル・ルクレールのドライバーラインナップに加えて、F1史上最高のデザイナーを擁する事になる。
2025年初頭の移籍は、2026年に導入される次世代レギュレーションを見越してのものだろう。マシン開発には1年以上の歳月を要するため、ニューウェイが移籍先のチームの2025年型マシンの開発に関わる余地は殆どない。
ニューウェイは現行のF1グランドエフェクトカーの設計において非常に高い評価を受けており、レッドブルは同規定が導入された2022年以降、チャンピオンシップを連覇し続けている。市場に出れば引く手数多なのは確実だ。
ニューウェイの離脱はレッドブルに更なる地殻変動をもたらす可能性がある。
チームの絶対的エース、マックス・フェルスタッペンは不安定なチーム状況に不満を抱いている事で知られており、2028年末までレッドブルとの契約があるにも関わらず、メルセデスのトト・ウォルフ代表はラブコールを送り続けている。
フェルスタッペンは、競争力あるクルマがある限りチームを去るつもりはないとの旨の発言を繰り返してきた。既に来季のマシン開発は始まっており、規定も変わらない事から、2025年もレッドブルが引き続きタイトル争いを繰り広げる可能性は高いが、2026年以降は未知数だ。
フェルスタッペンの契約には、恩師と崇めるマルコあるいは、特定の首脳陣がチームを去った場合に有効となる契約解除条項が存在すると見られている。
ニューウェイは、今後発売予定のRB17など、他のプロジェクトにも携わっており、F1のみに専念しているわけではない。実際、テクニカル・ディレクターを務めるのはピエール・ワシェであり、ホーナーはしばしば、個人の能力ではなくチーム全体としての開発能力の高さを強調しているが、ニューウェイの離脱が痛手となるのは疑いない。
ニューウェイは2022年の「RB18」に始まる現行グランドエフェクトカーのコンセプト担った立役者であり、年間1,000万ポンド(約19億4,360万円)とも噂される給与の高さが、その価値と才能を物語っている。
いずれにせよ、ニューウェイを失ったレッドブル・レーシングはもはや、我々の誰もが知っているようなチームではなくなるだろう。