レッドブル「Bチーム戦略はF1に利益をもたらす」としてルノーに反論、フェラーリとメルセデスも同意
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ルノー・スポールが「Bチーム戦略はF1にとって深刻な問題」と不満をあらわにする一方で、レッドブル、メルセデス、そしてフェラーリは、小規模チームに利益をもたらす合理的なビジネスモデルであり、ひいてはF1全体のためになると考えている。
開幕オーストラリアGPの1回目のフリー走行を振り返ったルノーのシリル・アビテブール代表は、トロロッソ・ホンダを例示して、リソースを持たない規模の小さなコンストラクターが、ルノーのような膨大な予算を投じているチームに匹敵するパフォーマンスを示していると憤慨。F1への新規参戦を計画しているマニュファクチャラーの意欲を削ぐと警告した。
ルノーは前々からBチーム戦略の台頭に不満を示しているが、それはワークス復帰を果たした当初に打ち立てた「五カ年計画」において想定外の出来事であったためだ。レッドブルがトロ・ロッソを、フェラーリがハースとアルファロメオを、そしてメルセデスがレーシングポイントを抱え込む中で、ルノーは完全に置き去りにされ、選手権返り咲きの野望に危険信号が灯りつつある。
アビテブールが不満をもらした直後に行われたメルボルンでの金曜記者会見には、先の4チームの首脳陣が集結。意見を求められたレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表は「私は主に小規模チームの利益のためになると考えている」と答えて、次のように続けた。
「このモデルが使えなかったならば、ハースは存在していないだろう。F1の参入・運営コストは極めて高額だからね。トロ・ロッソは昨年のRB14に使われていた多くのコンポーネントを流用している。それらは(規約で流用が許されている)”ノン・リスト・パーツ”であり、彼らはこれを効果的に利用している」
「これによってトロ・ロッソは、設計に関するリソースを削減し研究開発のためのインフラを持つ必要がなくなるわけだ。本格的なコンストラクタチームになる事と、”ノン・リスト・パーツ”を入手できる事との間には、究極的には賢明な相殺があると考えている。つまり、個人的にはこれに関して問題があるとは考えていない。小規模なチームは、費用対効果の高いチーム運営を行う事ができるようになったわけだしね」
隣に座っていたフェラーリのマッティア・ビノット代表も、ホーナーの意見に同調する。
「クリスチャンの意見に完全に同意するよ。ハースが採用しているモデルは、彼らのような(規模の小さな)チームにとって如何に優れたものであるかを示している。これは最終的にF1にとっても良いことだと私は考えている」
「将来を見据えた場合にもし問題があるのだとすれば、何が懸念材料であるのかを理解し、緩和すべきなのか回避すべきなのかをきちんと確認する必要があると思うが、モデル自体は正しいものだと思う」
メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ウォルフは「二人が言った事に付け加える事はなにもない」と述べ、Bチーム・モデルに問題はないとの認識を示した。
面白くないのはアビテブールだ。会見場の一番端に座っていたフランスメーカーの総監督は「私は彼らとは少し違う見解を持っている」と切り出した。
「現時点で既に、トップ3チームは我々よりも30%も40%も多くのリソースを投じているため、彼らと上位を争うことは非常に難しいのが現状だ。予算上限が設定されている中で、もし他チームのリソースを合算して上限以上のシナジー効果を得られるのであればそれは問題だ」
「我々にとってもそうだし、ここにいない他の2チームにとっても問題だ。それにF1に新しく参入しようとしているエントラントにとっても障害となりうる。この問題を放置することはとても深刻だ。”F1には3つのトップチームがある。もし新しく参戦したいなら、競争的なポジションを得られない事を納得してくれ”と言わねばならない」
「私はこの場で不満や怒りをぶつけたいのではない。レギュレーションで(そういったモデルが)許可されている事は知っているが、これを放置した場合に2021年どういった事が起きるかを極めて注意深く検討する必要がある」
「現時点では、バジェットキャップの話し合いの中で幾らかのパーツの流用が可能とされているが、(乱用を防止するための)セーフガードや対策がハッキリとしていない。今後統治機関との話し合いの中で、より納得の行く結果が導き出せる事を願っている」