レッドブル、2024年までペレス残留! リカルド離脱以来初の複数年…どうするガスリー?

セルジオ・ペレス(レッドブル)とピエール・ガスリー(アルファタウリ)、2021年6月7日F1アゼルバイジャンGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブル・レーシングはF1第7戦モナコGPを経て、セルジオ・ペレスとの2024年までの契約延長を発表した。マックス・フェルスタッペンのチームメイトが複数年契約を結んだのはダニエル・リカルド離脱後初めてだ。

サインしたのはシャンパンではなかった。ペレスはメキシコ人初のモナコウィナーに輝いた直後、「サインするのが早すぎたかも」とチーム代表のクリスチャン・ホーナーに語りかけた。一件について問われたペレスは「シャンパンの事だよ(笑」と必死にはぐらかしたが、既にマイアミの週末に契約書にサインしていたものとみられている。

技術規定の改定に伴い史上最も大きな変貌を遂げた2022年型F1マシンを手にしたペレスは今年、フェルスタッペンに見劣りしないパフォーマンスを発揮してきた。第2戦サウジアラビアでキャリア初のポールポジションを獲得すると、モナコでは週末を通してチームメイトを上回り、キャリア3勝目を飾った。

チーム及びフェルスタッペンとの関係も良好で、メルセデスと激闘を繰り広げた昨シーズンでは幾度となく援護射撃の役割を演じ、最終アブダビではフェルスタッペンのタイトル獲得をお膳立てした。ホーナーに言わせれば「チームプレーヤーとして、ピットレーンで彼以上のドライバーはいない」のだ。信頼は厚い。

2018年末を以てリカルドが去って以来、レッドブルは卓越した才能を持つフェルスタッペンのチームメイト選びに頭を悩ませ続けてきたが、ようやく適任を見つけ出した。

ペレスは圧倒的な一貫性を持つフェルスタッペンほどではないにしろ、予選ペースでもチームメイトに対して僅差に迫るようになり、レース巧者の評価通り、決勝では優れたタイヤマネジメントを武器にチームの期待に沿う活躍を続けている。それは今季7戦を終えて首位を走るチームメイトに15点差のランキング3位につけている事にも表れている。

レッドブルのシートが2024年まで確定した事で、その座を狙っていたドライバー達はキャリア計画の見直しを迫られる事になりそうだ。

その筆頭はアルファタウリのピエール・ガスリーだ。トップチームのシートに対する野望を公言して止まない26歳のフランス人ドライバーにとって、今年を含めて少なくとも後3年、ファエンツァのチームに留まり続ける事は、彼のキャリア形成においてプラスとなるだろうか?

とは言え3強チームに空きはなく、最も魅力的なオプションはリカルドの将来が危ぶまれているマクラーレンくらいだ。将来不確かなセバスチャン・ベッテルのアストンマーチン、フェルナンド・アロンソの去就が注目されるアルピーヌもあり得るが、少なくとも今年これまでの競争力から言えば、下手を打てば返ってキャリアに傷がつく可能性も否めない。

ヘルムート・マルコは今シーズンを前に、2023年末までに再昇格のチャンスを与えなければガスリーを失う可能性が高く「それは避けたい」としていた。つまり、ペレスとの2年の契約延長はガスリー放出の容認を意味する。

ペレスの残留はジュニアカテゴリーに参戦中の若手にとっても、キャリア計画を見直す契機になるかもしれない。

F1への登竜門と位置づけられる今季のF2にはユアン・ダルバラ、ユーリ・ビップス、リアム・ローソン、デニス・ハウガー、そして日本の岩佐歩夢の計5名が参戦している。ガスリーが留まり、角田裕毅が3年目の契約を獲得すれば、F1へのステップアップの機会は閉ざされる。

何れにせよペレスにとっては、シート喪失を心配する事なくレースに集中できる環境が整った事になる。若き才能に怯える事はない。今後の活躍が楽しみだ。

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