角田裕毅、2025年を前にマネジメント体制を刷新—新マネージャーとF1キャリアの行方
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2025年シーズンを迎えるにあたり、レーシング・ブルズの角田裕毅がマネジメント体制を一新したことが明らかになった。長年共に歩んできたマリオ宮川とルイス・アルバレス両氏との関係を解消し、新たなマネージャーとしてディエゴ・メンチャカを迎えた。
レッドブル昇格を逃し、不透明な将来
昨シーズン終盤、セルジオ・ペレスの去就が不透明となったことで、レッドブルのシートをめぐる憶測が飛び交った。その中で、ニック・デ・フリース、ダニエル・リカルド、リアム・ローソンらチームメイトを上回るパフォーマンスを見せた角田裕毅の昇格も取り沙汰された。
しかし、最終的にレッドブルはリアム・ローソンを起用。角田裕毅は2025年もレーシング・ブルズに残留することとなった。
さらに、角田裕毅を支援するホンダは2025年シーズン末をもってレッドブルとの提携を終了し、2026年からアストンマーチンに独占的にF1パワーユニットを供給する。こうした状況から、角田裕毅の将来は不透明な状況だ。
マネジメントを一新、新マネージャーは元ドライバー
パドックを歩く角田裕毅(ビザ・キャッシュアップRBフォーミュラ1)とマリオ宮川氏、2024年2月28日(木) F1バーレーンGP(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
この転機に際し、角田裕毅は2024年12月にマネジメント体制を刷新。新たにディエゴ・メンチャカ・ゴンサレス=キンタニーリャと契約を結んだ。
メンチャカは8歳でカートを始め、メキシコおよびアメリカの各種選手権に参戦。2011年にLATAMチャレンジシリーズでシングルシーターにステップアップすると、その後フォーミュラ・ルノー選手権やBRDCフォーミュラ4、ユーロフォーミュラ・オープン選手権など、欧州のジュニアカテゴリーで経験を積んだ。
また、昨年までレッドブルに所属していたセルジオ・ペレスと同じく、ラテンアメリカ系ドライバーを支援する「エクスデリーア・テルメックス」の一員であり、2025年からはドライバー・マネジメント業に転身する。
英Autosportに対し角田裕毅は、「マリオさんともルイスとも、もう仕事はしていません。ディエゴと共に仕事をすることになり、本当に満足しています」と述べ、「彼はとても意欲的で、契約後すぐにヘルムート・マルコのオフィスに行き、関係を築こうとしました。そういう努力を本当に評価していますし、ヘルムートも当然、同じように評価しています」と続けた。
レーシングブルズのリーダーとして迎えるシーズン
2025年シーズン、角田裕毅はレーシング・ブルズ(旧RB)のリーダーとしてチームを牽引する立場となる。新人アイザック・ハジャーを含むチームメンバーをまとめ、チームを上位へ導く役割が期待される。
角田裕毅に対するチームの期待と信頼は非常に高い。
チーム代表のローラン・メキースはプレシーズンテストにおいて、「昨年、ユーキは誰もが予想していなかった成長を遂げた。スピード、成熟度、技術的なフィードバックの面で大きく進歩した。今年も同じレベルの成長を遂げれば、非常に興味深いシーズンになるだろう」と語った。
ガレージ内で話をする角田裕毅(レーシング・ブルズ)とローラン・メキーズ代表、2025年2月27日(木) F1プレシーズンテスト2日目(バーレーン・インターナショナル・サーキット)
2026年以降の去就は未定、移籍の可能性は?
それにもかかわらず、角田裕毅のF1での将来は依然として不透明だ。
レッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は、角田裕毅の去就について、レッドブルのシートを争う見込みがない場合、2026年以降も彼を引き止める意味があるのかと疑問を呈している。
仮にレッドブルが角田裕毅との契約を終了した場合、2026年に向けた移籍の選択肢は限られる。
2026年のレギュレーション刷新を控え、ほとんどのチームがドライバーラインナップを早々に決定しており、多くのチームが一貫性を重視し、現行体制の維持を優先している。その結果、キャデラックの新規参戦が正式に決定していない現時点において、レーシング・ブルズを除けば空席はわずか3つしか残されていない。
F1のドライバー市場は流動的であり、今シーズンの結果次第では、誰かが期待外れの成績を残し、シートを失う可能性もある。
しかし、それを待つだけではなく、角田裕毅自身が確固たる実績を残すことが求められる。2025年は角田裕毅にとって、F1キャリアを左右する極めて重要なシーズンとなるだろう。