メルセデス、ラッセルは発展途上…課題は「ハミルトンの側で学び続けられるようにする事」

並んで歩くメルセデスのバルテリ・ボッタスとジョージ・ラッセル、2020年F1サクヒールGPにてCourtesy Of Daimler AG

バルテリ・ボッタスの後任として来季よりチームに加わるジョージ・ラッセルについてメルセデスのトト・ウォルフ代表は、まだ発展途上であり「ハミルトンの側で学び続けられるようにする事」が課題だと説明する。

ボッタスのアルファロメオへの移籍発表に続き、メルセデスは7度のF1ワールドチャンピオンであるハミルトンの来季チームメイトとしてラッセルを起用した事を発表した。

23歳のイギリス人ドライバーは2017年にメルセデスの若手ドライバープログラムに加わり、その年のGP3シリーズでチャンピオンを獲得すると、翌年にFIA-F2選手権を制して2019年にウィリアムズからF1デビューを果たした。

英国グローブのチームでの3シーズンにおけるラッセルの仕事に対する取り組みとパフォーマンスはパドック全体に感銘を与えた。メルセデスとの長期契約は納得の一言だが、”ボッタスの後任”が意味するものは大きい。

ボッタスは2017年の移籍以降、これまでに優勝9回、表彰台54回、ポールポジション17回を獲得しているが、特筆すべきは記録としての数字に表れない部分だろう。

ボッタスはハミルトンに及ばないながらも常にこれに限りなく近い位置でレースを終え、忸怩たる思いを抱えながらもサポートに徹し、チームのコンストラクターズ選手権4連覇に貢献してきた。ハミルトンとのそれはF1史上最も成功したパートナーシップとして記録される事だろう。

ハミルトンがチームに留まる事が確定している2023年までの事だけを考えれば、ボッタス続投が最適解とメルセデスも考えた事だろう。それはトト・ウォルフの「彼は間違いなくチームに残るべき存在だった」との発言からも窺える。ボッタスよりも遥かに血の気が多いラッセルに同じ役割を期待する事は難しい。

だが、ハミルトン引退後を考えれば次世代の育成は急務であり、ラッセルの起用はそれを踏まえての事だと理解するのが妥当と言える。

実際トト・ウォルフはラッセルを即戦力とは見なしておらず、ハミルトンの側で学ばせる事を最優先事項としているようだ。

「2022年に向けて、ジョージがキャリアの次のステップとしてメルセデスに加わる事を発表でき非常に嬉しく思う」 とトト・ウォルフは語った。

「彼はこれまでに参戦してきた全てのレースカテゴリーで勝利を収めてきた。ウィリアムズでの過去3シーズンはF1での彼の未来を予感させるものだった」

「これからは、彼が我々の環境の中で、そして史上最高のF1ドライバーであるルイス(ハミルトン)のそばで学び続けられるようにする事が我々の課題だ」

「二人の関係が深まれば彼らは強力なチームを形成し、今後数年間に渡ってコース上でもコース外でもメルセデスに貢献してくれると確信している」

「2022年の計画を発表した事で肩の荷が下りたが、これからは今シーズンの残り9レースに集中して、今年のワールドチャンピオンへの挑戦に全てを懸けていきたい」

通例、優勝やタイトルを争うべきトップチームへの移籍発表の際は、チーム代表の「活躍に期待する」といった文言が例外なくあるものだが、トト・ウォルフは来季のラッセルについて何も語っていない。ハミルトンが引退するまでは学びに徹しろ…そんな心の声が聞こえてくるようだ。

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