マクラーレンのF1変形翼「控え目に言っても物議」合法性を巡りレッドブルとフェラーリが厳しい目

モンツァ・サーキットを走行するマクラーレンMCL38のリア、2024年F1イタリアGPCourtesy Of McLaren

高速走行中に変形するマクラーレンのリアウイングについて、セルジオ・ペレス(レッドブル)は、国際自動車連盟(FIA)が許可したことに「かなり驚いた」と語り、シャルル・ルクレール(フェラーリ)は「控え目に言っても物議を醸している」と指摘した。

オスカー・ピアストリがバクーで優勝した際のオンボード映像により、MCL38のフラップの前縁が高速走行中に僅かに曲がり、メインプレーンとの間の隙間が広がっていることが注目を集めた。

マクラーレンのランド・ノリスとオスカー・ピアストリは、今週末のF1シンガポールGPに先立ち、リアウィングの合法性が疑問視されていることを一蹴したが、ライバルは厳しい目を向けている。

バクーでピアストリと優勝争いを繰り広げ、ロングストレートエンドで幾度となく仕掛けるも、MCL38のトップスピードの速さの前に敗れ去ったルクレールは、既にチーム内で話し合っていることを明かし、フレデリック・バスール代表がこの件をさらに詳しく追求するだろうと説明した。

英AUTOSPORTによるとルクレールは「僕が聞いた限りでは、控え目に言っても物議を醸している」と語った。

Courtesy Of Ferrari S.p.A.

フェラーリのシャルル・ルクレールとカルロス・サインツ、2024年9月19日(木) F1シンガポールGPプレビュー(マリーナベイ市街地コース)

マクラーレンのリアウィングは、速度が増すにつれて湾曲し、メインプレーンとフラップの間に隙間が生じることで空気抵抗が減少し、最高速度が向上する。この効果は全チームが使用しているDRSと似ていることから、「ミニDRS」と呼ぶ者もある。

シンガポールGPを前にした声明を通してFIAは、マクラーレンのマシンは全てのテストに合格しているとしつつも、バクーで得られた映像を分析し、必要に応じてシーズン中に規則を変更する可能性を除外しないと発表した

英Sky Sportsによるとペレスは、規定違反に該当すると考えていたため、FIAがそれを合法とみなしたことに「かなり驚いた」と語った。

「かなり驚いている。許されていないと思っていたからね。でも、許可されているようだから、みんなと同じくらい驚いていると思う」

「間違いなく大きなアドバンテージだ。チームもそれが突然、許された理由を調べていると思う。本当に、本当に驚いている」

英BBCはまた、ペレスがマクラーレンのマシンを「違法」と主張したと報じた。レッドブルは、英語発音の観点から、ペレスは「違法」ではなく「合法」だと語ったとしているが、BBCを含む一部のメディアはレッドブルの指摘を受け入れていないようだ。

一方でチームメイトのマックス・フェルスタッペンは、「高速走行時に動いているのは明らかだ」としつつも、「賢いのか、そうでないのか、最終的にそれを判断するのはFIAだ」と語り、状況を静観するほかにないと付け加えた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

セルジオ・ペレス(レッドブル・レーシング)、2024年9月19日(木) F1シンガポールGPプレビュー(マリーナベイ市街地コース)

バクーで今季2勝目を挙げたピアストリは「競争力のあるマシンは常に注目を浴び、詳細に検討されるものだ」と語り、ここ数ヶ月間に渡るマクラーレンの強力なパフォーマンスを踏まえると、ライバルが疑問の声を発するのは「当然」だと語った。

また、ノリスはFIAが自分たちのマシンを合法とみなしていると強調し、「あらゆる領域を押し広げようとしているチームを誇りに思う」と語り、トップ争いを繰り広げる上では車体開発においても限界を追求する必要があると語った。

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