マクラーレン、75%株取得でインディカーへの関与強化…レースチームへ原点回帰強める
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マクラーレン・レーシングはインディカー第11戦ナッシュビル決勝を前に「アロー・マクラーレンSP」の75%の株式を取得する契約を結んだ事を明らかにした。取引の条件は公開されていないが、2021年内に完了するとしている。
これに伴いマクラーレン・レーシングは3名を取締役会に送り込み、ザク・ブラウンCEOが議長に就任。取締役会はサム・シュミットとリック・ピーターソンを含めた計5名で構成される。マクラーレンSPのテイラー・キール社長は引き続きチームの運営を指揮・監督する。
同チームは2001年にサム・シュミットが設立したもので、2013年にリック・ピーターソンが経営に参画した事でシュミット・ピーターソン・モータースポーツ(SPM)へと改称。これまでに13回のポールポジションと27回の表彰台を獲得している。
マクラーレンは昨年、SPMと提携する事で40年ぶりにインディカーに復帰。今季はメキシコ出身のパトリシオ・オワードとスウェーデン出身のフェリックス・ローゼンクビストを起用した。
マクラーレンのザク・ブラウンCEOは今回の契約について「インディカーへの長期コミットメントを示す強いシグナル」であるとして、北米における同社のブランディング並びにレース・ポートフォリオに対して長期的な価値をもたらすと説明した。
サム・シュミットは「ザクとは25年来の付き合いだ。彼はレーサーであり、このグループは筋金入りのレーサーの集まりだ」と述べ、2年前のマクラーレンとのパートナーシップ提携以降、チームは「技術的にも商業的にも非常に好調」であるとして、今回の資本増強によってインディ500、そしてシリーズチャンピオン獲得に向けて必要となるリソースを長期的に確保したと強調した。
またリック・ピーターソンはマクラーレンとの過去2シーズンを振り返り、トップチームへと成長するためには「F1での経験を持つマクラーレン」との提携が鍵になるとしていた自身の信念が「証明」されたとして、今後の更なる前進に期待を示した。
パンデミックによって財務状況が悪化した事を機にマクラーレンは、マクラーレン・テクノロジー・センターをリースバックし、F1チームの15%株とF1パワーユニットの標準ECUを供給するアプライド部門を売却。更にはサウジアラビアの投資ファンド等から5億5000万ポンドもの増資を受けるなど財務基盤を強化する一方、電動SUV戦「エクストリームE」に新規参戦するなど、レースチームへとしての原点回帰の動きを強めている。