0-100km/h 加速 2.9秒の電動スポーツバイク「KYMCO SuperNEX」は、新たな地平を切り開けるか?
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台湾最大のスクーターメーカーであるキムコ(KYMCO)から、 0-100km/h加速2.9秒という驚異的なパフォーマンスを発揮する電動スポーツバイク「KYMCO SuperNEX(キムコ スーパーネックス)」が発売された。日本への導入と価格は未定。
4輪市販車が一様にEV化に進んでいるのとは対照的に、スーパースポーツバイクの世界は電動化にあまり積極的ではないように見受けられる。無論コスト的な理由はあるだろうが、キムコはその理由を次の3つに集約。これを解決するためのマシンとして「SuperNEX」を開発した。
- 無音である物足りなさ
- ギアシフトによる操る楽しさの欠如
- 加速感の不足
SuperNEXはまず第一に、ギアシフトこそがバイク乗りにとって極めて重要な要素との設計思想に基づいて開発された。ライダーの楽しみの一つは、車両の潜在能力を十分に引き出すテクニックを磨くことにある。完璧なギアシフトは、ライダーにとっての永遠の魅力。キムコはそう考えたのだ。
スーパーネックスには最新の6速トランスミッションが搭載され、クラッチレス・シフトアップとシフトダウン機能を備えている。スリッパー・クラッチは、通常のシフトダウン時の乗り心地を更に快適なものにする。EVマシンでありながらもギアを搭載することで、すべてのスポーツバイクライダーにとって必要不可欠なマシンの繋がりをもたらそうとしている。
電動モーターは本質的に、ミッドレンジで最大馬力に達しその後出力カーブが減少する。その結果、単一ギアの電動バイクでは所定の速度に達すると加速力が顕著に低下する問題があった。SuperNEXの6速トランスミッションは、効率と応答性だけでなく加速と最高速度を改善。その結果、時速0~100km加速2.9秒、0-200km/h加速は7.5秒、そして0-250km/h加速までは10.9秒で到達。驚異的なパフォーマンスを発揮する。
マシンのキャラクターや感覚、情熱が求められるスーパースポーツバイクでは、電動モーターの静けさはマイナスとなってしまう。原付きとは異なり、ただの移動手段ではないからだ。SuperNEXではこの課題に対応するため、マシンの鼓動を伝えるように設計された世界初のアクティブ・アコースティック・モーターを搭載する。
ダイナミックなモーター・サウンドを忠実に再現するマルチ周波数音響発生器によって官能的なサウンドを発生。音の個性や音量は、ライダーの好みに合わせて調整可能となっている。
今年の英国マン島TTレースでは、TEAM MUGENが電動バイク「神電 七 – しんでん なな」を投入。新たなコースレコードを樹立してクラス5連覇を成し遂げた。2輪業界に電動シフトの流れが押し寄せているのは間違いないが、市販スーパーバイクへの波及は侘しい。「KYMCO SuperNEX」は、新たな地平を切り開けるだろうか?