フェルスタッペン父、開幕戦に勝機見出すも「レッドブル・ホンダRB16は若干遅れを取っている」
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マックス・フェルスタッペンの父ヨスは、息子マックスが7月5日の開幕オーストリアGPで優勝争いを演じるはずだと信じる一方で、レッドブル・ホンダの今季型F1マシン「RB16」は王者メルセデスAMGにやや遅れを取っているとも感じており、チャンピオンシップ制覇のためにはシルバーアローとのギャップはコンマ2秒以内に抑える必要があると主張する。
史上最年少チャンピオンを目指すフェルスタッペンは、ルノー製F1パワーユニットを搭載していた2018年、そしてホンダ製へと切り替えた2019年の2年連続でレッドブル・リンクでの戦いを制しており、来たるべき7月5日のシーズンオープナーおよび、翌週末に同じシュピールベルクで開催されるシュタイヤーマルクGPでの2連勝に期待が寄せられている。
シルバーストン・サーキットを走行するレッドブル・ホンダRB16
とは言え、今季のイベントは従来の延長線上にはない。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でカレンダーは全面再編され、レースウィークへの帯同が許されるスタッフの数・行動には制限が敷かれるだけでなく、レースそのものは無観客で開催される。ヨスも例外ではなくピットへの立ち入りが禁止されるため、開幕戦は自宅でテレビ観戦するそうだ。
4ヶ月というブランクはフェルスタッペンの利となるだろうか? ヨスはレッドブル・リンクでのレースについて、Ziggo Sportとのインタビューの中で次の見解を示し、期待感をにじませた。
「マックスからはバルセロナテストでのマシンのフィーリングは良かったと聞いているし、自分たちの立場については把握できているが、実際のところどうなのかは誰にも分からない。とは言えオーストリアでは優勝争いができると思っている。あのコースはマックスに合っているし、メルセデスが本領を発揮できない可能性があるからね」
マスク越しにアレックス・アルボンと会話するホンダF1の田辺豊治テクニカル・ディレクター、フィルミングデイ@シルバーストン
レッドブル・ホンダ陣営は開幕を直前に控え、英国シルバーストン・サーキットにRB16を持ち込みプライベートテストを行ったが、その場にフェルスタッペンの姿はなく、アレックス・アルボンが1人でフィルミングデイの上限いっぱいとなる100kmを走り込んだ。
ネックとなったのはイギリス政府による新型肺炎抑止策にあった。英国は現在、海外からの入国者に対して、事前に申告した滞在先における14日間の自己隔離を義務付けている。「マックスはイギリスに行かなかった」とヨスは説明する。
「もし渡英していれば2週間の隔離生活を余儀なくされていただろう。彼のスケジュールを考えるとイギリスに行くのは不可能だった。マックスは、RB16で3・4周するだけでフィーリングを取り戻すことができると言っていたし、彼自身はその事(事前テストに参加できないこと)を心配していない」
プライベートテストで使われたRB16には空力アップデートが施され、2月のバルセロナテストの時には見られなかったフロアやバージボードが確認されていた。ホンダとの2シーズン目を迎えるミルトンキーンズの新作は、2月の時点と比較して進化しているのだろうか?
ヨスは「小さな飛躍はあると思う。強制的なシャットダウン期間の間は何も開発されていないが、それより前の段階で幾つかのアイテムが開発されていた。これらはオーストリアで使用できる」と説明した。
ガレージからコースに出るメルセデスAMG「W11」
ただし、これはレッドブル・ホンダに限った話ではなく、選手権7連覇の偉業を目標に掲げるメルセデスも同様だ。テクニカル・ディレクターのジェームス・アリソンは、ファクトリーの操業停止期間以外の時間を最大限に利用して可能な限り開発を進めている事を明かし、開幕戦で今季型「W11」に”多くの”新パーツを投入する見通しだとしている。
ルイス・ハミルトンとの一騎打ちが予想される今シーズンの選手権争いの行方は、どう展開する事になるのだろうか? ヨスは「予想するのは非常に難しい」とした上で次のように述べた。
「個人的な感想としては、我々はメルセデスに対して僅かに遅れを取っていると感じている。もしその差がコンマ2秒以内であれば、凄くエキサイティングなチャンピオンシップになるだろうが、もしコンマ5秒離されていたとしたら、今までの話は忘れて欲しい。もし我々が予想しているように僅差であれば、ルイス・ハミルトンとマックスとの勝負になるはずだ」
2020年シーズンの開幕オーストリアGPは、日本時間7月3日(金)18時から行われる1回目のフリー走行で幕を開ける。