インディカー第8戦デトロイト:ニューガーデン、9割支配もオワードが逆転勝利…佐藤琢磨は変更が裏目に

ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)、パトリシオ・オワード(マクラーレンSP)、アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝レースにてCourtesy Of INDYCAR

2021インディカー・シリーズ第8戦シボレー・デトロイトGPのレース2が現地13日(日)にベルアイル・パーク市街地コースで行われ、予選16番手のパトリシオ・オワード(マクラーレンSP)が5月2日のテキサスに続く今季2勝目を飾った。

前日のレース1と同じく70周で争われたこの日、22歳のメキシコ人ドライバーは残り3周という最終盤に、それまでの全67周でリードラップを刻んでいたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)をオーバーテイク。6.7595秒差でこれを交わしてトップチェッカーを受けた。

シボレー、借りを返す1-2

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メキシコ国旗を掲げるマクラーレンSPのパトリシオ・オワード、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝レースにて

ニューガーデンが2位フィニッシュした事でシボレーはお膝元で1-2フィニッシュを達成。ホンダ搭載のマーカス・エリクソン(チップ・ガナッシ)に勝利を奪われた初日レース1の借りを返した。

アレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)が3位フィニッシュに終わった事で、オワードは1ポイント差でパロウを抑えてポイントランキング首位に浮上した。

レースを終えたオワードは「今朝、フェリックスに『今日は君のために優勝するよ』って誓ったんだ。だからこの勝利は彼とマンスールのものだ」と述べ、レース1での激しいクラッシュによってレース2の欠場を余儀なくされたチームメイトのフェリックス・ローゼンクヴィストと、大株主として現在のマクラーレンを築き上げ、6月6日に亡くなったマンスール・オジェに勝利を捧げた。

佐藤琢磨、変更が裏目に

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ベルアイル・パーク市街地コースを周回するレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝にて

レイホール・レターマン・ラニガン・レーシングの佐藤琢磨は予選19番手と、前日よりも後退したポジションからスタート。アンダーステアに見舞われるなどクルマは仕上がり不十分といった感じであったが、幾度となくオーバーテイクを成功させて最終12位でヘルメットを脱いだ。

レースを終えた佐藤琢磨は、レース2に向けて施したセットアップ変更が逆効果となり「スピードが不足していた」と説明した。12位というリザルトについては「不満が残る」としながらも、レースペースを考えれば「やむを得ないものだった」とした。

レース概要

前日同様に現地デトロイトは晴天に恵まれ、レースは気温26℃、路面温度38℃のドライコンディションでスタートした。

ローゼンクヴィストの代役としてマクラーレンSPをドライブしたオリバー・アスキューは、ファン・パブロ・モントーヤのレーシングスーツとパロウのシューズを借りてぶっつけ本番でクルマに乗り込むも、メカニカルトラブルで46周目にリタイヤを喫した。

なお直前に行われた予選では、サンティノ・フェルッチ(RLLレーシング)がクラッシュを喫し、レースに向けてバックアップカーの用意を強いられた。

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予選クラッシュで破損したサンティノ・フェルッチのマシン、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイトにて

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予選でクラッシュを喫したサンティノ・フェルッチ、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイトにて

注目のオープニングラップでは、スコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)とロマン・グロージャン(デイル・コイン)がターン1で接触。続いて、失速したセバスチャン・ブルデー(A.J.フォイト)に前を塞がれブレーキングを余儀なくされたジェームズ・ヒンチクリフ(アンドレッティ)にマックス・チルトン(カーリン)が衝突した。

フロントウィングが脱落したチルトンは為す術なくタイヤバリアに接触し、早くもフルコースイエローが振られた。

このタイミングで、19番手から15番手にまでポジションを上げていた佐藤琢磨らオルタネイトタイヤ(赤)勢7名がピットイン。対してポールシッターのニューガーデンを含むブラックタイヤ勢らはステイアウトした。

レースは5周目にリスタートを迎え、20番手の佐藤琢磨はグロージャンを追い抜き19番手にポジションを上げた。オワードは序盤5周で6台抜きを演じた。

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2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝スタート直後の様子

ステイアウトした隊列前方のレッドタイヤ勢のペースが上がらなかった事からフィールド後方が接近。リーナス・ヴィーケイ(エド・カーペンター)とエリクソン、あるいは佐藤琢磨とグロージャンなど、至る所で激しい肉弾戦が勃発した。

20周目にトップ10後方組が相次いでピットに入ると、ホイールナットが外れた事でダルトン・ケレット(A.J.フォイト)がピット出口で立ち往生した。するとイエローを警戒したか、ニューガーデンを含む上位4台を始めとして複数台がピットへと向かった。

佐藤琢磨はケレット、ヒンチクリフを交わしてポジションアップを果すと27周目にピット作業を行い15番手でコースに復帰した。その直後、ジャック・ハーベイ(メイヤーシャンク)との接触の責任を問われ、グロージャンにドライブスルー・ペナルティが科せられた。

2度目のフルコースイエローは54周目。ジミー・ジョンソン(チップ・ガナッシ)がピット出口付近でスピンを喫した。

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チップ・ガナッシのジミー・ジョンソン、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝レースにて

ニューガーデン、コルトン・ハータ(アンドレッティ)、パロウの順で残り13周でレース再開を迎えると、オワードがディクソンを交わして5番手に浮上。佐藤琢磨はフェルッチをパスすると、続いてライアン・ハンター=レイ(アンドレッティ)を抜き去り10番手にポジションを上げた。

レース再開から2周が経過すると、今度はグロージャンの左フロントブレーキから炎が上がり、3度目のフルコースイエローが出された。

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ベルアイル・パーク市街地コースを走るデイル・コイン・レーシングのロマン・グロージャン、2021年6月13日のインディカー第8戦デトロイト決勝にて

残り7周の戦いの火蓋が切って落とされると、オワードがグレアム・レイホール(RLLレーシング)とパロウを立て続けに抜き去り4番手に浮上。佐藤琢磨はシモン・パジェノー(チーム・ペンスキー)に仕掛けたもののコーナーで曲がりきれず、逆にハンターレイとフェルッチに先行を許した。

勢いづくオワードを抑える事はできず、ニューガーデンは残り3周でトップの座を受け渡した。

ハイライト動画

2021年デトロイトレース2決勝結果

Pos. Start Driver Gap
1 16 パトリシオ・オワード
McLaren SP
–.—-
2 1 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
6.7595
3 4 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
6.9392
4 2 コルトン・ハータ
Andretti
7.0558
5 9 グレアム・レイホール
RLL Racing
7.6952
6 20 ウィル・パワー
Team Penske
8.4418
7 6 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
8.8324
8 10 シモン・パジェノー
Team Penske
9.0641
9 22 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
9.5248
10 12 サンティノ・フェルッチ
RLL Racing
10.6860
11 17 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
10.9852
12 19 佐藤琢磨
RLL Racing
11.5761
13 7 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
14.2097
14 14 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
14.9968
15 8 コナー・デイリー
Ed Carpenter
15.1529
16 13 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
15.2726
17 11 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
16.1183
18 3 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
16.8545
19 18 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
1 lap
20 21 スコット・マクラフラン
Team Penske
1 lap
21 25 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
1 lap
22 15 マックス・チルトン
Carlin
2 lap
23 24 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
9 lap
24 5 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
13 lap
25 23 オリバー・アスキュー
McLaren SP
24 lap

第8戦消化時点でのポイントランキング

第8戦出走者を対象に、レース結果を受けてのポイントランキングを以下にまとめる。

Pos. Driver Pts. Total Gap
1 パトリシオ・オワード
McLaren SP
51 299 0
2 アレックス・パロウ
Chip Ganassi
35 298 -1
3 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
26 263 -36
4 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
44 248 -51
5 リーナス・ヴィーケイ
Ed Carpenter
12 243 -56
6 シモン・パジェノー
Team Penske
24 243 -56
7 マーカス・エリクソン
Chip Ganassi
22 211 -88
8 グレアム・レイホール
RLL Racing
30 209 -90
9 コルトン・ハータ
Andretti
32 202 -97
10 佐藤琢磨
RLL Racing
18 181 -118
11 ウィル・パワー
Team Penske
28 169 -130
12 スコット・マクラフラン
Team Penske
10 164 -135
13 ジャック・ハーベイ
Meyer Shank
11 146 -153
14 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
17 145 -154
15 セバスチャン・ブルデー
A.J. Foyt
14 122 -177
16 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
19 122 -177
17 コナー・デイリー
Ed Carpenter
15 117 -182
18 エド・ジョーンズ
Dale Coyne
13 113 -186
19 サンティノ・フェルッチ
RLL Racing
20 105 -194
21 ジェームズ・ヒンチクリフ
Andretti
16 103 -196
23 ロマン・グロージャン
Dale Coyne
6 95 -204
25 ダルトン・ケレット
A.J. Foyt
7 81 -218
29 マックス・チルトン
Carlin
8 44 -255
30 ジミー・ジョンソン
Chip Ganassi
9 40 -259

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