ニコ・ヒュルケンベルグ、珈琲タイムの4時間後に急遽ニュルを限界走行「心臓が止まるかと思った!」

ニュルブルクリンクへ緊急招集されたニコ・ヒュルケンベルグ、2020年F1アイフェルGPcopyright Racing Point

ニコ・ヒュルケンベルグにとっての10月10日は、空前絶後に慌ただしく急でクレイジーな1日だった。友人とコーヒーを楽しんでいたその4時間後、33歳のドイツ人ドライバーはレーシングポイント「RP20」のステアリングを握り、ニュルブルクリンクでの限界走行に挑んだ。予定外だった。

シルバーストンでのスーパーサブとしての役割を終えたヒュルケンベルグは、再びF1浪人生活を続けながら、時折メディアの仕事に従事していた。今週末はテレビ解説者としてアイフェルGPに参加する予定であったが、土曜日の朝にランス・ストロールが体調を崩してFP3を欠場したため、再びサーキットに駆けつけて代役を務める事になった。

セットアップ調整もなく、全く馴染みのないマシンに乗り込み予選に臨んだヒュルケンベルグ。許された時間は僅か15分だった。10周を走って4度のアタックを行い、最後尾20番手に終わったが、19番手キミ・ライコネンまでは僅かコンマ2秒、チームメイトのセルジオ・ペレスとのギャップも僅かコンマ9秒と、信じがたいほど印象的なタイムを刻んでみせた。

マシンを降りたヒュルケンベルグは”気分はどう?”と問われると「午前11時頃に心臓発作を起こしたことを考えれば、悪くないね」と冗談を言い、その日の成り行きを説明した。

「前回よりも更にワイルドでクレイジーだった。ここから1時間の距離にあるケルンにいたんだ。今日の午後にここに来る予定でね。明日、RTLのテレビ番組の仕事が入っていたんだ。午前11時に友人とコーヒーを飲んでいたら、オトマーから電話があって『ヒュルケンベルグ、急いでここに来てくれ!キミが必要なんだ!』って言われたんだ」

「それから車に飛び乗ってここに来て、その後はご覧の通りさ。胸の鼓動が高鳴る2度目の復帰だ」

如何にRP20のドライブ経験があるとは言え、これほど急な状況の中で、一切の練習も調整もなくぶっつけ本番でQ1を突破する事は不可能だった。

「シルバーストンとはまた違った感じがしたよ。サーキットそのものも全く別のタイプだし、マシンだって改善が続けられてきたからね。ニュルは幾つか技術的に特異な部分があるんだけど、それがドライバーに大きく異る感触を与えるんだ。それに合わせ込んで自分のベースになるものを見つけ出す必要があった」

「でも、そう簡単にいくわけがない。たった4周だったからね。とは言え、最後尾に終わったものの、全体的には満足してる」

通常であれば、母国グランプリの予選で0.4秒差の最後尾に終わるなど、悔やんでも悔やみきれいないところだが、ほんの4時間前までF1マシンに乗るなどとは想像だにしていなかった事を考えれば、十分に満足のいくリザルトであった事だろう。

燃料を積んだ状態での走行経験がないままに迎える日曜のレース。前回代役を務めた70周年記念GPでは7位入賞を果たしたわけだが、ヒュルケンベルグは今回、どのような結果を期待しているのだろう?

「明日は非常に難しく、地獄のようなチャレンジになるだろうけど、できることはやるよ」とヒュルケンベルグ。

「僕には経験があるし、ポケットには今日の経験で得た4周があるから、明日はそれが活きてくるはずだ」

F1アイフェルGP特集

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