E10燃料による馬力損失、有望なホンダとフェラーリ…レッドブルは新車「RB18」の開発も順調か
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2022年シーズンのF1の注目は主に、複雑なエアロパーツが一掃されグランドエフェクトがより重視される車体側に向けられがちだが、パワーユニット(PU)側の変更も見逃せない。
3月にバーレーンで開幕を迎える今季は持続可能性並びに、温室効果ガス排出量の実質ゼロを指す「ネット・ゼロ・カーボン」の実現に向けた取り組みの一環として、従来のE5燃料からE10燃料、すなわち化石燃料90%、エタノール10%のブレンドへと変更される。
これに伴い約20馬力程度が失われるとみられており、メルセデス、フェラーリ、ホンダ、ルノーの各パワーユニット・メーカーは、現行V6ターボの燃焼室を中心に対応に取り組んでいる。
なおホンダは2021年シーズン末を以て公式にはF1から撤退したものの、今季もレッドブル及びスクーデリア・アルファタウリが搭載するパワーユニットの製造、組み立て、メンテナンスを引き続き担当する。
レッドブルのモータースポーツ・アドバイザー曰く、現時点でホンダの開発は順調に進んでいるようだ。
ヘルムート・マルコはauto motor und sportsとのインタビューの中で、パフォーマンスとしては今はまだ2021年レベルに達していないものの、ホンダはE10燃料への対応に向けて「懸命に取り組んでおり」「私が耳にしている限りでは(開発は)ポジティブ」だと語った。
また、シャシー側の開発も予定通りに進んでいるとの事で、目標に掲げるタイトル防衛に向けてプロジェクトは順調のようだ。
ただしルールが刷新されるため全てが白紙状態であり、設定された目標を達成していたとしてもそれが十分であるかどうかは別の話だ。
マルコは大規模なルール変更が行われるが故に「確実なことは言えない」としながらも、人材や継続性という観点から2022年シーズンもレッドブルとメルセデスがコンストラクターズ選手権を争い、ドライバーズ選手権ではマックス・フェルスタッペンとルイス・ハミルトンの一騎打ちになると見ている。
3強入り復活を目指すフェラーリも前向きな状況にあるようだ。
既報の通りマラネロのチームは2022年より、オイル・燃料パートナーのロイヤル・ダッチ・シェルが出資するブラジルの合弁会社、ライゼンから第2世代のバイオ燃料の”独占”供給を受ける。未定ながらも跳馬以外のチームは、E10燃料が導入される2022年に第1世代のバイオ燃料を使用する可能性が高いものと見られる。
イタリアメディアの報道によると、シェルとフェラーリは既に燃料切り替えに伴う損失をゼロに抑えるほどの成果を上げているようで、目標に掲げるメルセデスとホンダに匹敵するレベルのパフォーマンスが期待出来ると言う。
ホンダとフェラーリが有望という事は必ずしも、メルセデスとルノー(アルピーヌ)が絶望という事を意味しない。
信頼性に問題を抱えながらもメルセデスは昨年、ホンダを上回るパフォーマンスを見せつけた。また、ルノーは2022年型PU開発において、ヴィリー=シャティヨンのファクトリーのテストベンチで良好な数値を記録したと伝えられている。