角田裕毅の放出憶測を受け「チャンスを掴まなければならない」とレッドブルF1代表ホーナー

スプリントを前にグリッド上で話すクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシングチーム代表)と角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月21日(土) F1アメリカGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅の解雇を望んでいるとの憶測についてレッドブル・レーシングのクリスチャン・ホーナー代表はこれを否定しつつも、シニアチーム昇格のためにはコース上での活躍によってそれに足る実力がある事を証明しなければならないと語った。

日本GPの週末、角田裕毅がダニエル・リカルドと共に2024年もアルファタウリからF1に参戦する事が発表された。だが来季のラインアップを巡る議論は二転三転したとの見方が多く、放出のリスクは決してゼロではなかったものと見られる。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

グリッドでレース開始を待つ角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月22日(日) F1アメリカGP(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)

そんな鈴鹿でのラインナップ発表から3週間を経て、ブラジルの大手日刊紙「グローボ」は、ホーナーが角田裕毅の排除を望んでいると報じ、独「Sky Sports」で解説を務めるラルフ・シューマッハも同様の内容を伝えた。

アルファタウリというチームは、グリッドに着く他の9チームとは出自とポジションが大きく異なる。

将来のレッドブル・ドライバー育成の役割を担うファエンツァのチームのドライバーは、誰もがレッドブルへの昇格を目指さなければならない。極端な話、その器にないと判断されれば如何にチームに貢献したとしても放出され得る。

アルファタウリのピーター・バイエルCEOが認める通り、若手ドライバーのインキュベーターとしてのチームの役割は今や、必ずしも絶対的なものではなくなったようだが、それでもドライバーにとっては基本的に、アルファタウリに留まり続けるというキャリアパスは存在せず、あるのは放出かレッドブルへの昇格の二択と言える。

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ピエール・ガスリー(アルピーヌ)を追う角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年10月22日(日) F1アメリカGP決勝レース(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ)

英大衆紙「Mirror」は、アメリカGPを前にしたインタビューの中でホーナーが「角田裕毅のファンでないという話を否定した」と伝えたが、それによるとレッドブルの指揮官は同時に「チャンスを掴まなければならない」とも指摘した。

「ユーキは本当に速いドライバーだ。我々は過去3シーズン、彼が成長する様を見てきた。今や彼はジュニアドライバーとして4シーズン目を迎えるが、アルファタウリに対するレッドブル・レーシングの関心事は、レッドブル・レーシングのシートへの潜在的な跳躍台としてのみである、という点を忘れてはならない」とホーナーは語る。

「ユーキがF1にいるのは才能があるからであって国籍は関係ない。最終的にレッドブル・レーシングに昇格するに足る十分な実力があるのかどうか…彼はコース上での活躍によってそのチャンスを掴まなければならない」

「マックス(フェルスタッペン)はトロ・ロッソ出身だし、セバスチャン・ベッテル、ダニエル・リカルド、ダニール・クビアト、アレックス・アルボン、ピエール・ガスリーもそうだ。このチームはレッドブル・レーシングの潜在的なドライバーを輩出するためのパイプラインとして存在してきた」

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ルイス・ハミルトン(マクラーレン)、セバスチャン・ブルデー(トロロッソ)、キミ・ライコネン(フェラーリ)、セバスチャン・ベッテル(レッドブル)、2009年4月2日F1マレーシアGP

アルファタウリのドライバーは、下位カテゴリーで切磋琢磨するジュニアドライバーからの突き上げに晒される宿命にある。

リカルドの代役として今年、印象的な活躍を残したリアム・ローソンは2024年末までリザーブドライバーの役割に留まると発表されているが、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは「遅くとも2025年まで」にはF1のレースシートを手に入れるだろうとして、来シーズン中のドライバー交代の可能性に含みを残している。

マルコについてホーナーは「若い才能を発掘するのが彼の主な仕事だ。彼はこれまでに素晴らしい仕事をしてきた」とした上で、将来のF1ドライバー候補を育成するジュニアプログラムについて次のように説明した。

「毎年のようにマックス・フェルスタッペンを育てることはできない。才能あるドライバーというのは時に波のようにやってくるものであるからだ。レッドブルが際立って優れているのは、そうでなければチャンスを得られなかったかもしれないドライバーにチャンスを与えることだ」

「我々のプログラムは厳しいものだが、F1はフィニッシング・スクール(主に若い女性を対象に、マナーや社交技術、文化的教養などを教える場所)ではない。完成された状態で辿り着かなければならないし、成功を収めたドライバーはチャンスを得る事ができる」

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