ホンダF1、新生HRC USが早くもパワーユニット電動開発に合流…人材交流含め連携開始

ホンダが2021年のF1でレッドブル及びアルファタウリに供給したパワーユニット「RA621H」のプレナムチャンバーCourtesy Of Honda Motor Co., Ltd

HRC(株式会社ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長は、2026年に向けて新生「HRC US」の技術者を加えた日米連携体制でのF1パワーユニット(PU)開発を既にスタートさせた事を明らかにした。

インディカーへのエンジン供給を目的に1993年に設立された「Honda Performance Development(HPD)」は昨年12月付けで「HRC US」へと社名が変更された。今後はHRCとの”ワンブランド体制”でホンダ四輪モータースポーツの開発力をグローバルで高めていく計画で、その中にはHRC USのPU開発への関与が含まれる。

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ホンダが2021年のF1でレッドブル及びアルファタウリに供給したパワーユニット「RA621H」全体像 (1)

ホンダは2021年末を以てF1から撤退したが、2025年末までテクニカルパートナーという肩書でレッドブル・レーシング及び、その姉妹チームのビザ・キャッシュアップRBにES(バッテリー)を除くPUコンポーネントを供給する。

次世代PUが導入される2026年以降はアストンマーチンとタッグを組むことが決まっており、イギリスに拠点を立ち上げる計画を立てている。

渡辺社長はHRC公式サイトのインタビューの中で、少数ながらもHRC USのメンバーが既にF1プロジェクトに関与している事を明かした。F1のパワーユニットは内燃機関にハイブリッドを組み合わせたもので、米国からのメンバーは開発とサポートの両面で後者に取り組んでいるという。

HRC USの前身であるHPDは、今シーズン中の導入が予定されるインディカーのハイブリッドエンジン開発の経験がある。渡辺社長は「電動の部分に(HRC USが持つ)知識とマンパワーが欲しかった」と説明し、次のように続けた。

「まだHRCとHRC USが一緒に働くプロジェクトは始まったばかりで少人数のみ関わっている段階ですが、今後相乗効果が生まれることに非常に大きな期待を寄せています」

「HRC USとしても、F1をサポートすることで彼らのレベルが上がることに強く期待しており、もうすでに効果が現れているようで、一緒にやることでいろいろと勉強になるという話などを耳にすると、実感がわきます」

現時点では「出張ベース」に留まるものの、両組織の人材交流も始まっており、開始数ヶ月ながらもソフトウェアのアップデートという点で既に効果を発揮しているという。

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HRC(株式会社ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長、本田技研工業の三部敏宏社長、アストンマーチンF1のローレンス・ストロール会長、マーティン・ウィットマーシュ、2023年5月24日の2026年F1パートナーシップ締結発表会見にて

HRCのモータースポーツ活動領域はF1、インディカー、日本のスーパーフォーミュラとSUPER GT、そしてLMDhおよびLMH車両が参戦可能なIMSAスポーツカー選手権のGTPクラスなど多岐に渡る。

IMSAで活動するHRC USとの連携は、潜在的にFIA世界耐久選手権(WEC)への新たな参戦の礎となり得るが、渡辺社長は現時点では2026年からのF1参戦に重点を置いているとして、大いに興味があるとしつつも現時点では具体的な計画はないと説明した。

ホンダの高級車ブランド、アキュラは今季のIMSAでGTPクラスに2台の「ARX-06」を投入している。日本人ドライバーがGTPクラスに参戦する道を将来的にホンダがお膳立てする計画はあるのだろうか?

渡辺社長は時期については明言できないとしつつも、「日本人ドライバーに海外で活躍する場を提供していく、準備していく検討に入りたいと考えている」と述べ、前向きな姿勢を見せた。

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HRC US IMSA参戦車両「Acura ARX-06」イメージ

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