渦中のハースF1、2028年末までフェラーリ製PUを搭載…技術提携契約を延長。トヨタとの提携の可能性や如何に

ニコ・ヒュルケンベルグのガレージ前に置かれたハースVF-24のフロントウイング、2024年F1イギリスGPCourtesy Of Haas

トヨタとの提携が噂される中、ハースF1チームはハンガリーGPを週末に控えた2024年7月16日(火)、スクーデリア・フェラーリとの技術提携契約の延長を発表した。

これにより米国カナポリスのチームは少なくとも2028年シーズン末まで、フェラーリ製のF1パワーユニットや、ギアボックス、油圧系統などの車両コンポーネントを搭載するほか、マラネッロの風洞やシミュレーターの使用を含め、広範な協力体制を維持することになる。

契約の延長についてハースの小松礼雄代表は「新しいパワーユニット規定に移行する中、フェラーリとの関係を維持することは我々にとって、継続的に発展していく上で重要な要素です」と語る。

「スクーデリア・フェラーリとの関係は常に特別なものでした。彼らは初期段階におけるプログラムの立ち上げに重要な役割を果たしてくれただけでなく、過去9シーズンに渡って貴重な技術パートナーであり続けてくれました」

「我々のプロジェクトに信頼を寄せてくださったフェラーリのフレッド・バスール氏をはじめ、多くの方々に感謝申し上げます。今回の発表は、マネーグラム・ハースF1チームの長期的な野望の表れであり、我々は今後もF1への投資を続けていきます」

ハースに関しては様々な形でのトヨタとの提携の可能性が一部で報じられていたが、今回の発表により、タイトルスポンサー契約や、2026年以降のシャシー製造の全てが、独ケルンにあるトヨタの欧州研究開発拠点に引き継がれるとの憶測が実現する可能性はほぼ潰えたように思われる。

しかしながら、ハースとの提携やF1復帰に向けた検討の事実について尋ねられたトヨタの広報担当者は、その可能性を肯定も否定してもおらず、その中身はハッキリしないものの、何らかの話し合いが行われていることは確かだと考えられている。

協力関係を築く可能性があるとすれば、トヨタ・ガズー・レーシング・ヨーロッパが持つ風洞を含む大規模な技術設備、そして人材の活用においてだろうか。

以前はマクラーレンが使用していたものの、チームはウォーキングに60%スケールの新たな風洞を稼働させた。マクラーレンとの契約がなくなったことでトヨタに余剰リソースが発生しているであろうことは想像に難くない。

ハースは2016年のF1初参戦以来、外部パートナーとの提携を通して組織構造、リソースを最小限に抑えるチーム運営を貫いてきた。中団上位、さらにはトップ5を目指す場合、自前のリソースだけでこれを実現するのは難しい。どのような形であれトヨタの技術・人的資源を活用できれば、ハースにとってはプラスとなることだろう。

一連の噂について独auto motor und sportは、トヨタがエンジンメーカーとしてF1に復帰するための第一歩と捉えることは誤りだと指摘しつつも、完全なデマはないとして、将来的なケルンとの協力関係についてハースチーム内で話し合いが行われている可能性を指摘した。

F1ハンガリーGP特集

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