ガスリー「道理にかなっている」角田裕毅のレッドブル昇格を支持、一方でチャンスを阻む”要素”を指摘

マリーナベイ市街地コースのパドックを並んで歩く角田裕毅(RBフォーミュラ1)とピエール・ガスリー(アルピーヌ)、2024年9月19日(木) F1シンガポールGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅のレッドブル昇格に関してピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、”非パフォーマンス的要素”が障害になっているとの見方を示し、コース上でのパフォーマンス面だけで判断すれば、「彼にチャンスを与えるのは道理にかなっている」と主張した。

ガスリーとの2年間に渡るアルファタウリ時代を経て角田裕毅は、その後、飛躍的な成長を見せ、ニック・デ・フリースやダニエル・リカルドを総合的に上回るパフォーマンスを発揮し、チームメイトをシート喪失に追い込んできたが、未だに真剣な候補として検討されていない状況に置かれている。

かつてのガスリーと同じ状況に直面する角田裕毅

コース上で結果を残しながらも遅々としてチャンスが与えられないという点で、ガスリーは過去に角田裕毅と同様の状況に直面したことがある。

ガスリーは2019年シーズンに先立ち、ルノーに移籍したダニエル・リカルドの後任としてレッドブルへの昇格を果たしたが、同じRB15をドライブするマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスに匹敵できず、僅か12戦でトロ・ロッソに降格させられた。

しかしながら、ファエンツァのチームに出戻った後にガスリーは、3シーズン半に渡ってリードドライバーとしての役割を果たし、優勝を含む3回の表彰台を獲得する活躍を見せた。

それは少なからず再昇格のチャンスに値するものだったと言えるが、待ち続けたその機会が与えられることはなく、ガスリーはキャリアプランを再考し、2023年にアルピーヌに移籍した。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

2020年F1イタリアGPの表彰台に上がったピエール・ガスリー、カルロス・サインツ、ランス・ストロール

同じ境遇に置かれた親友についてガスリーは、F1カタールGPを前に「パフォーマンス的に言えば、彼はチャンスに値すると思う」と述べ、これまでの角田裕毅の成長を強調した。

「F1に来て以降、彼は大きく成長したように思う。今シーズンも昨シーズンもそうだけど、本当に力強いパフォーマンスを見せてきたし、チームメイトも打ち負かしてきた」

「そういう観点に立ってレッドブルのプログラムを見る限り、彼にチャンスを与えるのは道理にかなっている」

昇格を妨げる「非パフォーマンス的要素」

角田裕毅が狙うレッドブルのシートを持つセルジオ・ペレスは今年、悪い意味で安定的にパフォーマンスが不足しており、レッドブルのコンストラクターズ選手権争いの足を大きく引っ張っている。

一方で、その後ろ盾には世界屈指の億万長者、カルロス・スリムが控えており、レッドブルに多額の資金をもたらしている。この非パフォーマンス的要素が、ペレスがシートを維持している要因との指摘もある。

また、レッドブル上層部が角田裕毅の昇格に消極的な理由としては、レース中の感情の抑制や自制心への疑念があるともされているが、角田自身は「政治的な要素」や、創業者ディートリッヒ・マテシッツの死後に変化した「チーム内部の力学」が、昇格を妨げていると感じている

ガスリーの期待とレッドブルの現実

レッドブルが角田裕毅を昇格させない理由についてガスリーは、次のように指摘する。

「究極的に言えば、決定にはパフォーマンス以外の要素が絡むことは分かっている。それにレッドブルはトップチームだし、クリスチャン(ホーナー代表)とヘルムート(マルコ)がどうしたいかに依る」

しかしながらガスリーは、「個人的」な期待を隠さず、「彼がレッドブルで何をやってくれるのか見てみたい」と続けた。

「そんなに簡単な話じゃないことは分かってるけど、パフォーマンスという観点で言うならば、彼にはそのチャンスを得る資格があると思う」

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