ウイルス蔓延で開催危ぶまれるF1世界選手権…ケアリーCEO、開幕3戦の見通し語る
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世界的大流行が懸念されている新型コロナウイルスの感染拡大を受け、F1世界選手権の開催が危ぶまれている。既に延期が決定している第4戦中国GPは、開催国内で感染が拡大したためにキャンセルされたわけだが、入国制限が行われる事でF1関係者が現地入り出来ず、結果として開催中止に追い込まれる事も起こりうる。
27日現在の外務省の発表によれば、ミクロネシア連邦、サモア、キリバス、ツバル、ソロモン諸島、コモロ、イスラエル、イラク、クウェート、サウジアラビア、モンゴルの各国は日本を含む感染者確認国からの入国制限を設けており、こういった対策を打ち出す国や地域は全世界的に拡大している。
F1チームの大部分はイギリスに本拠を構えているが、28日付けのBBCの報道によれば、英国国内で確認された新型コロナウイルスによる感染症(COVID-19)患者は16名との事で、本格的な流行には至っていない。だが、タイヤサプライヤーのピレリやフェラーリ、アルファタウリが活動の拠点としているイタリアは感染者数が急増しており、26日付のイタリア当局の発表によれば、国内の感染者数は400人にまで達している。
新型ウイルスはイタリア以外にもヨーロッパ全域に広がっており、レッドブルの母国オーストリアや、プレシーズンテストが行われているスペイン、ルノーがパワーユニット開発拠点を置くフランスやメルセデスの母国ドイツ等で感染者が確認されている。
このような背景からオーストラリア、バーレーン、ベトナムの開幕3連戦に関しても、中国GP同様に延期あるいは中止の公算が高まっているわけだが、F1のチェイス・ケアリーCEOは28日昼にSky F1のインタビューに応じ、「水晶玉で将来を見通す事は難しい」とした上で、「時間の経過とともに状況は明らかに変化しているが、今のところ、再来週はオーストラリア行きの飛行機に乗り、その後はバーレーンとベトナムにも行く予定だ」と述べ、現時点では予定通り開幕3レースを実施する方向で計画を進めていると明らかにした。
「私はこの数日であらゆる関係者と連絡を取ってきた。定期的に連絡を取り合ってもいるし、その上で3箇所の計画全てを進めているし、当面の問題に対処するための適切な対策を整えている。それは確かだ」
「だが状況は流動的であり、我々はこれを注視し続ける必要がある」
メルボルンでの開幕戦までは2週間しかなく、残された時間は少ない。オーストラリアGPコーポレーションのアンドリュー・ウェストコットCEOは「当局から指導を受けており、最終的には政府からガイダンスを受ける事になる。医学的観点と経済的観点の両方で(開催の是非を)評価する」と述べ、何よりも国益が最優先事項だとの認識を示している。