F1、スプリント規定を変更して「未消化ペナルティ問題」に対応…停止からの復帰可能ルールを明確化
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国際自動車連盟(FIA)がF1スプリントに関連するルールを変更した。これにより、スプリントレース中にドライバーがペナルティを消化できない場合、次のレースでグリッド降格ペナルティが科せられることとなった。
2024年のF1中国GPでは、3位争いの最中にカルロス・サインツ(フェラーリ)と接触したフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)に10秒のタイムペナルティが科されたが、アロンソは攻防の最中にタイヤがパンク。リタイヤしたためペナルティが実質的な影響を与えることはなかった。
ヴィタントニオ・リウッツィを含む当時のスチュワードもこの問題については認識していたが、これが現在のレギュレーションに則り、取れる唯一の決定だと指摘し、FIAに対して規定の修正を検討するよう要請した。
ペナルティを科されたドライバーがグランプリレースをリタイアした場合、次のレースでグリッド降格ペナルティを受けることになるが、スプリントレースに関して当時のF1ルールは、このような調整を認めていなかった。
FIAは7月31日(水)、スポーティング・レギュレーションの最新版を公開し、その中で上記の問題に対処した。
各種タイムペナルティ、ドライブスルー・ペナルティが科されながらも、リタイヤにより当該スプリント中に消化不能な状況となった場合、スチュワードは次のレースでのグリッド降格ペナルティを科すことができるようになった。
FIAはまた、予選、スプリント予選中に「ピットレーン以外の場所でクルマが停止し、何らかの補助を受けたドライバーは、当該セッションのそれ以降への参加は認められない」とルールを変更した。
これも同じく中国GPで発生した問題を受けて採られた対応だ。
サインツは予選Q2の最終コーナーでクラッシュした後、外部の支援を受けずに自走してガレージへと戻り、メカニックによる修復作業を経て再びセッションに合流。3番手タイムでQ3進出し、7番グリッドを持ち帰った。
当時のF1競技規定第39条6項は「予選セッションまたはスプリント予選中にコース上で停止したドライバーは、それ以上、そのセッションに参加することはできない」と定めていた。
仮にクラッシュ以降のセッションへの参加をサインツが禁止されていた場合、より上位のグリッドを確保できたはずのアストンマーチンは、このルールを根拠として意義を申し立てた。
しかしながらスチュワードはこのルールについて、マーシャルや回収車両といった外部の支援なく再スタートした場合はセッションの続行を認めるものであるとの解釈を示して却下した。
なお、スプリント及び決勝レースに関しては「ピットレーン以外の場所でクルマが停止し、何らかの補助を受け再合流したドライバーは、当該スプリントセッションまたはレースから失格となる場合がある」と新たにルールが設けられた。