ピットストップ時間が遅くなる? FIA、告発を受けルール変更…標的はレッドブル・ホンダか

ピットストップの練習を行うレッドブル・ホンダ、2020年F1バルセロナテスト5日目Courtesy Of Red Bull Content Pool

フレキシブル・ウイングに続く次のターゲットはピットストップだ。F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は第8戦シュタイアーマルクGPの開幕を前に、”一部チーム”からの告発に対応する形で安全上の懸念を理由にピットストップの手順に関する新たな技術指令書を発行した。

世界最速のピットストップ記録を持つ英国ミルトンキーンズのチームは今年、開幕バーレーンGPで今季最速の1.93秒を叩き出し、イモラとバルセロナを除く全てのグランプリで最速ピットストップを記録。頭一つ飛び抜けたスピードを見せているが、その流れも幾らか変わる事になるかもしれない。

FIAはホイールナットの締付けを確実なものとして安全性を高め、また、ルールで許容されている以上の自動化プロセスを防ぐ目的で新たなテクニカル・ディレクティブ「TD22A」を発行した。これは第11戦ハンガリーGPより施行される。

伝えられるところによると、この新しいルールは一部のピットストップ作業工程に”最低時間”を設定するもののようだ。

具体的には、ホイールナットの締め付け完了が確認されてからクルマを降ろすようジャッキマンへの指示が与えられるのに最低0.15秒、また、ジャッキが降りてからドライバーにゴーサインが出されるまでに最低0.2秒のマージンが必要となる。

仮に交換メカニックが所定の時間に満たない段階で完了の合図を出した場合、センサーがこれを無効と判断。再度作業を行わなければならない。

安全性向上? いや策略だ、とレッドブル

東京都市大学の最新の研究によると人の目は1000分の8秒の変化を認識できると言うが、陸上競技をはじめとする幾つかのレース競技においてはスタートシグナルから発進までの間のマージンが0.1秒を下回る場合にフライングとするのが一般的で、今回のルール改定における各数値はこうした反射神経の限界値を考慮したものとみられる。

平均して3秒近くもの作業時間がかかっているハースが標的であるはずもなく、今回のルール変更が7戦中5戦で最速ピットストップを記録しているレッドブル・ホンダを標的としたものである事はほぼ間違いないだろう。

では、これに難癖を付けた”一部のチーム”とは一体どのチームのことなのだろうか?

明らかにされていないため実際のところは不明だが、モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは先週RTLに対して、メルセデスがレッドブル・ホンダのピットストップ作業に関する合法性を疑っていると明かしている。

なお当のメルセデスはチーム代表のトト・ウォルフが「現在使用中のあるシステムの安全機構について、最適化できないかどうかをFIAに問い合わせた。3〜4週間前の事だったと思う」と述べ、一連の動きのトリガーを引いた可能性を否定しなかった。

技術開発が主戦場のF1においてはライバルチームが使うテクノロジーやデバイスを違法なものとするために、敢えてそれと同じようなシステムをFIAに対して提示して議論の俎上に上げるという手法が定番化している。

メルセデスはピットアウトの際のタイムロスを削減するための新たな方法をシュタイアーマルクGPのFP2で試してみたものの、テストを担当したバルテリ・ボッタスはピットレーンで派手にスピン。タイム改善の試みは図らずも3グリッド降格という結果に終わっている

F1シュタイアーマルクGP特集

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