フェラーリF1、「世代的飛躍」果たした新型シミュレーターが2年越しで遂に完成
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スクーデリア・フェラーリ待望の新型シミュレーターが遂に完成した。旧型と比べて「世代的な飛躍」を果たしたとされるこの最新鋭の装置は現在、エンジニアリングチームによるキャリブレーション作業が進められており、稼働後は新規定が導入される2022年型F1マシンの開発に役立てられる事になる。
フェラーリは最後にコンストラクターズ選手権を制覇した2008年から続く長期低迷に終止符を打つべく、遡ること2年前に新型シミュレーターの開発に多額の投資を投じる決断を下した。
2年間の開発期間を経て遂に完成したこの新型シミュレーターは、F1開発部門のゲスティオーネ・スポルティーバとフィオラノ・テストコースとの間に新たに建設された施設に設置され、その作業が今週ようやく完了した。
これはフェラーリの元エンジニアであるアシュリー・ウォーン率いる英国のDynisma社との共同開発による特注品で、現在市販されているものの中で最も遅延時間が短く、かつ処理能力が高いという。
アシュリー・ウォーンはエアロモデラーやパフォーマンス・エンジニアとして活躍した後、2010年から2013年までマクラーレンのシミュレータープログラムに参画。2014年から2017年までフェラーリのシニア・ビークル・ダイナミクス・エンジニアを務めた後、起業のために退社した。
マラネロのエンジニアリングチームは現在、キャリブレーション作業に取り組んでおり、本格的な稼働はファクトリー操業停止期間のサマーブレイク開けの9月が予定されている。無論、稼働後にこのシミュレーターに充てがわれるのは「647プロジェクト」とのコード名の下に進められている2022年型F1マシンの開発だ。
マラネロのサプライチェーン部門を率いるジャンマリア・フルゲンヅィによると、この最新鋭のシミュレーターは「世代を超えた飛躍」を果たしたものとの事で「F1マシン開発において従来以上に重要な役割を果たすことになる」という。
フェラーリは既に今季型F1マシンSF21の開発を終えており、リソースの全てを新しいレギュレーションが導入される2022年向けの開発に注いでいる。シャルル・ルクレールは先日、既存のシミュレーターで2022年型モデルをドライブした事を明かし、今季型と比べてクルマの感触・挙動が「かなり違う」としていた。
なお現行のシミュレーターは今後も稼働し続けるとの事で、SF21のセットアップ作業やレース週末に向けての準備、そしてフェラーリ・ドライバー・アカデミー(FDA)所属の若手ドライバーのサポート達に使用されるという。