2022年末でのF1早期離脱の憶測すら囁かれるダニエル・リカルド、かつての寵児の低迷に同情の声
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今年のモンテカルロに4年前のレースでERSを失いながらも見事な勝利を収めたダニエル・リカルドの勇姿はなかった。FP1でこそ7番手を刻んだもののFP2ではクラッシュ。予選では14番手に終わり、決勝では僚友ランド・ノリスが6位入賞を飾った一方、13位に終わった。
リカルドは数年前まで、ルイス・ハミルトンやマックス・フェルスタッペンと並ぶトップ3に数えられる程の高い評価を得ていた。だが昨年のマクラーレン移籍以降、その輝きは完全に失われてしまった。
セルジオ・ペレスのようなかつての苦労人が成功を収める時、人は感慨深い思いに駆られるが、その逆のパターンは同情の念を抱かせる。
2016年のF1ワールドチャンピオン、ニコ・ロズベルグは「ダニエルは、ほんの数年前までF1のトップ3~4のドライバーだったのに。何が起きているのかを説明するのは本当に難しい」とかつての戦友の苦戦を憂いた。
「本当に辛い状況だ。本当に同情するよ。今朝、彼のチームのボスが、彼との来年の契約を破棄する方法があると言っていた。そんなこと聞きたくないよね」
F1ジャーナリストのマーク・ヒューズはモータースポーツ・マガジンに「本当は書きたくないのだが、避けて通れなくなってしまった。ダニエルについて話をする必要がある」と綴り、今季末を以てリカルドがF1を去ったとしても驚きはないと評した。
「マクラーレンに移籍して以来、彼にかつてのエースドライバーの面影はない」
「(昨)シーズン後半のモンツァでは、マクラーレンの1-2フィニッシュという印象的な勝利をもぎ取るまでに前進したが、タイヤのライフとスピードという奇跡的な組み合わせを実現させ、タイヤを長持ちさせる事によって高速コーナーを圧倒し、ロックアップさえせず驚異的なアウトブレーキをかけて僅かなチャンスを金に変えるベルベットと鋼のコンビネーションを持つあのダニエル・リカルドにはまだ戻れていない」
「チームボスのザク・ブラウンがリカルドの(将来の)疑念に対する質問に対して一方的に答えたという事実は、チーム内で非常に深刻な疑問が投げかけられていることを示唆している」
「リカルドはF1に多くのものをもたらしている。彼のオープンで笑顔の絶えない人柄はとてもユニークだし、彼がいる事は素晴らしいことだ。だが、問題が(クルマへの)適応であれ、集中力であれ、欲望であれ、このレベルのパフォーマンスは、超競争的なダニエル自身が許容できるものではない」
「この問題を迅速に理解して修正できない限り、彼が来年もシートに座っている姿を想像するのは難しい。状況が少しでも異なればもっと素晴らしいものになる可能性があったとしても、それでも我々は今、偉大なキャリアの終わりを目の当たりにしているのかもしれない」
一方でポール・ディ・レスタは、ブラウンが早期契約解除を仄めかしたことについて「僕は不吉な兆しであるとは考えていない」と指摘する。
「彼らは現在の状況について彼に警告するために、ああいう事を言ったんだと思う」
「予選でノックアウトしてクルマを止めた時、ダニエルがクルマに座ったまま前を凝視している姿があった」
「あの表情は、ルイスが自分達のパッケージが信じられずにいたバクーの時のそれに凄く似ていた。ダニエルにも同じ事が起きていたんだと思う。こういう時は逆のアプローチが必要で、ダニエルを喜ばせて、そこに留まらせるようにしなければならない」
「何故なら、与えさえすれば彼はやってくれるのだから」
「彼はパドックにいるべきナイス・ガイで、F1の一部であり、このスポーツのアンバサダーなんだ」