F2 第7戦スパ︰角田裕毅が2勝目も「大満足の勝利とは言えない」危険行為のマゼピンには”猶予付き”ペナルティ
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2020 FIA-F2選手権第7戦スパ・フランコルシャンのレース1が8月29日に行われ、ポールポジションの角田裕毅(カーリン)が今季2勝目、レース1での初勝利を飾り、総獲得ポイントを111に伸ばしてドライバーズランキング3位に浮上した。佐藤万璃音(トライデント)は15位、松下信治(MPモータースポーツ)はリタイアという結果に終わった。
レースは現地16時45分に気温17℃、路面温度24℃のドライコンディションでスタートした。角田裕毅はターン1をトップで通過。3番手からスタートした松下信治が2番手に浮上した事で、オープニングラップは日本人ドライバーが1-2を築く形となった。
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ところが松下信治はその後ペースが上がらず徐々にポジションを落とし、5周目にはチームメイトのフェリペ・ドルゴヴィッチと接触した事でタイヤがバースト。クラッシュを喫した事でバーチャル・セーフティーカーが導入された。このブランシモンでのクラッシュの責任を問われ、松下信治には日曜のスプリントレースでの3グリッド降格ペナルティが科された。
レースは7周目にリスタートを迎え、角田裕毅は2番手に約3秒差をつけてトップを快走するも、10周目のピットストップの際に後続のロバート・シュワルツマン(プレマ)との接触を避けるべくピットアウトが遅れてしまい、ニキータ・マゼピン(ハイテックGP)に事実上のトップを奪われてしまった。
角田裕毅は首位マゼピンに対して幾度となく仕掛けるも、その度に激しいブロックに合いオーバーテイクは叶わず、僅差の2位でチェッカーフラッグを受けたが、角田裕毅をコースオフに追い込んだとしてマゼピンに5秒ペナルティの裁定が下った事で繰り上がり優勝となった。3位はミック・シューマッハ(プレマ)という結果となった。
レース後にマゼピンは「スチュワードがこの調子だとコース上でレースができなくなってしまう」と語り、5秒ペナルティに不満を漏らしていた。
なおマゼピンに関しては、パルクフェルメにクルマを停止させる際に2位ボードを跳ね飛ばした事が審議の対象となり、スチュワードは「潜在的に危険で非スポーツマン的な行為」であるとして、FIAフォーミュラ2スポーツ規則第27条4項への違反があったと認定した。
この結果、マゼピンには執行猶予付きの5グリッド降格ペナルティと共に、1点のペナルティポイントが科される事となった。猶予期間は2020年シーズン末までとの事で、特定のレースでの降格を命じるものではなく、シーズン末までに更なる違反があれば、その時点で適用されるものと見られる。
© Formula Motorsport Limited、表彰台では昨年のスパで事故死したアントワーヌ・ユベールを追悼するため、フランス国旗が掲げられた
角田裕毅は、繰り上がりでの優勝は完全に満足できるものではないとして、レース2での”リベンジ”を誓う。
「スタートは無難でしたが、第1コーナーのブレーキングでトップを守れたのが大きかったと思います」と角田裕毅。
「その後のソフトタイヤでのペースもとてもよかったです。ピットストップで後ろからマシンが来て、すぐにスタートできない不運はありましたが、アンセーフ・リリースでペナルティーとならないように配慮してくれたチームには感謝しています」
「結果としてこの遅れで先行を許してしまいましたが、レースペースはよく、その後トップのマシンに何回も仕掛けることができました」
「1度はブレーキングで前に出ましたが、その後スペースがなくなるくらい寄せられて、コースオフしてしまいました。それで相手はペナルティーとなり、それは納得のいく結果ですが、完全に抜ききれなかったのは反省点です」
「優勝という結果はよかったですが、抜いてトップを奪えなかったという点で、完全にうれしいとは言えない部分もあります。レース2では、そのリベンジという思いで良いレースをしたいと思います」