F1テスト初日結果:ハイレーキのホンダ勢、砂舞う難条件で安定走行…信頼性欠いた前年王者の3倍走破でトップ発進

砂嵐の中でレッドブル・ホンダ「RB16B」をドライブするマックス・フェルスタッペン、2021年3月12日バーレーンテストCourtesy Of Red Bull Content Pool

タイトル奪還に向けレッドブル・ホンダが幸先いいスタートを切った。2021年F1公式プレシーズンテスト初日セッションが12日(金)に行われ、マックス・フェルスタッペンが1分30秒674のトップタイムを刻んだ。

2番手はランド・ノリス。僚友ダニエル・リカルドから作業を引き継ぎ午後にマクラーレンMCL35Mを走らせたノリスは、0.215秒落ちのタイムを残した。3番手にはアルピーヌA521をドライブしたエステバン・オコンが続く結果となった。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

アルファタウリ・ホンダAT02を走らせる角田裕毅、2021年3月12日バーレーンテストにて

アルファタウリ・ホンダの角田裕毅は印象的な走りを見せた。ピエール・ガスリーに代わって午後にAT02のコックピットに座ると、チームメイトとのギャップを0.496秒に抑える9番手タイムを残した。ミディアムを履いたガスリーに対し、角田裕毅はハードだった。

惜しむらくは燃料システムに問題が発生した事だ。チームはチェッカーフラッグ前に走行を切り上げ、角田裕毅の周回数は37周、200.244kmと伸びなかった。

金曜のバーレーン・インターナショナル・サーキットは暑く険しい1日となり、午前と午後の4時間✕2回のセッションは気温29~35℃、路面32.1℃~39℃のドライコンディションの中で行われた。

ただ、午前は晴天に恵まれたものの午後は一変。吹き荒れる強風が砂漠の砂を舞い上げ、現地サクヒールは視界が遮られる程に砂埃が舞う悪天候に見舞われた。

搭載燃料、コース条件、走行プログラムなど、各車の条件が違うため特にテスト初日のタイムシートは意味をなさないが、かと言って何も分からないというわけではない。

ローレーキがトレンドの中、ハイレーキ・コンセプトを貫くレッドブルとアルファタウリは、今のところ2021年のルール変更に上手く対応したように見える。強風の影響でコンディションが非常にトリッキーであったにも関わらず、2台は安定して地面を捉えているように見えた。少なくともこの日、昨季「RB16」が抱えていたリアの不安定さは見られなかった。

Courtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

メルセデスW12をドライブするバルテリ・ボッタス、2021年3月12日バーレーンテストにて

8連覇に向けてのメルセデスの挑戦は落胆の1日でスタートした。午前を担当したバルテリ・ボッタスは1周のインスタレーションラップを終えてガレージイン。開始早々にギアシフトの問題が発生し、ギアボックス交換を強いられた事で午前の走行は僅か6周に留まった。

代わって午後にステアリングを握ったルイス・ハミルトンも周回数を伸ばす事が出来ず、1日で計49周に留まった。これはこの日の最多周回数を刻んだレッドブル・ホンダの139周の3割に過ぎない。ちなみに昨年は173周を走り込んでいる。ライバルとは異なりシェイクダウンを行わずにテストに臨んだ事が仇となったような1日だった。

メルセデスは何処にトークンを費やしたかを明かしていない。だが、それがこの日問題を抱えていたギアボックスにあったとしたら…。

ハースもまた信頼性トラブルに見舞われた。午前を担当したミック・シューマッハは、油圧系統の問題により15周と厳しい出だしを強いられた。ただ、午後はニキータ・マゼピンが70周を積み重ねる巻き返しを見せた。

来年の次世代シャシーに全てを懸け、開発トークンすら使わず、ベテランドライバーを一挙放出してまで資金が見込める若手ルーキー2名を迎え入れたハース。マゼピンとシューマッハは、唯一開発ドライバーを起用したウィリアムズにすら遅れを撮る15・16番手に仲良く並んだ。2021年シーズンは昨年以上に厳しいものとなるだろう。

フェラーリはシャルル・ルクレールが午前を担当。「SF21」は順調に周回を重ねていたが、チェッカーフラッグ直前にターン4脇にマシンを止めて初の赤旗。ただしカルロス・サインツが引き継いだ午後は安定的に周回を伸ばし、跳馬は1日を通して116周をカウントした。

アストンマーチンは午前をセバスチャン・ベッテルが担当。午後にランス・ストロールがAMR21での作業を引き継いだが、電気系統にトラブルを抱えてセッション冒頭にガレージでの待機を余儀なくされた場面もあった。

とは言え、ストロールが刻んだ自己ベストはフェルスタッペンから1.1秒落ちの4番手であり、AMR21は1日を通して97周を走り重ねた。

アルファロメオは淡々とプログラムに取り組んだ。深刻な技術トラブルもなく、19シーズン目を迎えたキミ・ライコネンとアントニオ・ジョビナッツィは2人合わせて133周を計上した。

テスト2日目も日本時間16時より開始される。セッションの模様はDAZNが生配信する

Pos Driver Team Time Gap Tyre Laps
1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダ 1:30.674 C3 139
2 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 1:30.889 0.215 C3 46
3 エステバン・オコン アルピーヌ 1:31.146 0.756 C4 129
4 ランス・ストロール アストンマーチン 1:31.782 1.108 PROTO 46
5 カルロス・サインツ フェラーリ 1:31.919 1.245 C3 57
6 アントニオ・ジョビナッツィ アルファロメオ 1:31.945 1.271 C3 68
7 ダニエル・リカルド マクラーレン・メルセデス 1:32.203 1.529 C2 45
8 ピエール・ガスリー アルファタウリ・ホンダ 1:32.231 1.557 C3 74
9 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダ 1:32.727 2.053 C2 37
10 ルイス・ハミルトン メルセデス 1:32.912 2.238 C2 42
11 シャルル・ルクレール フェラーリ 1:33.242 2.568 C3 59
12 キミ・ライコネン アルファロメオ 1:33.320 2.646 C3 63
13 セバスチャン・ベッテル アストンマーチン 1:33.742 3.068 PROTO 51
14 ロイ・ニッサニー ウィリアムズ・メルセデス 1:34.789 4.115 C3 83
15 ニキータ・マゼピン ハース・フェラーリ 1:36.789 4.124 C3 70
16 ミック・シューマッハ ハース・フェラーリ 1:36.127 5.453 C2 15
17 バルテリ・ボッタス メルセデス 1:36.850 6.176 C2 6

 

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