ハミルトンとメルセデスの振る舞いを痛烈批判するエクレストン、爵位授与式に参加する一方でFIA表彰式を欠席
Published:
F1のホームにしてルイス・ハミルトン(メルセデス)の母国である本場イギリスのメディアやファンは総じて、あまりに悲劇的な展開で8度目のタイトルを逃した36歳に寛容的だが、91歳の元F1総帥は批判的だ。
ハミルトンは最終盤までアブダビGPを完全に支配していたものの、ウィリアムズのニコラス・ラティフィがクラッシュした事で流れが一転。セーフティカーが導入され、マックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が最終ラップで逆転のトップチェッカーを受け、自身初のタイトルを手にした。
レース結果に不満を怒りをあらわにしたメルセデスは、FIAレースディレクターを務めるマイケル・マシのセーフティーカー解除の際の判断に対して異議申し立てを行ったがスチュワードはこれを却下。そこで控訴の意思を表明し、FIA国際控訴裁判所(ICA)で争う姿勢を見せた。
だが最終的にシルバーアローは、控訴期限を迎えた16日(木)に控訴を取り止めたと発表した。ウォルフはこの際、マシの「自由なルール解釈」によってハミルトンがタイトルを「奪われた」と語ったが、バーニー・エクレストンは全く同情していない様子だ。
現役時代も引退後も、歯に衣着せぬ発言を繰り返してきたエクレストンはSky Sportsとのインタビューの中で「奪われたというのは全くのナンセンスだ」と語った。
「注意深く振り返れば、あのレースの1周目で彼(ハミルトン)はサーキットから出て再び戻ってきた。一方のフェルスタッペンはコース上に留まり、何も非はなかった」
「ルイスはあの件で何も罰されていないのだから、あまり文句を言うべきじゃない」
「この手の事はスポーツの世界ではよくある事だ。レースディレクターを責めるべきじゃない。彼は正しい判断を下した」
エクレストンはまた、ドイツの放送局n-tvとのインタビューにおいて「おそらく他のチームメンバーも怒りを感じていただろうが、それをあらわにしたのは彼だけだった」と述べ、アブダビでのウォルフの「演技」は「アカデミー賞」ものだったと痛烈に皮肉った。
メルセデスの指揮官はラップをリードしていたハミルトンが最終周でフェルスタッペンに交わされると感情を剥き出しにして「マイケル、これはダメだ、違う、やめさせろ!こんなの全く間違っている!」と叫び、怒りの矛先をFIAレースディレクターに向けた。
失意のレースを終えたハミルトンは2日間に渡って沈黙を貫いた後、15日(水)にウィンザー城で行われた授与式に参加し、モータースポーツ界としてはジャック・ブラバム、スターリング・モス、ジャッキー・スチュワートに続く4人目の爵位の称号を受けた。
これについてエクレストンは「国のために本当に何かをした人だけがナイトの称号を与えられるべきだ」と述べ、ハミルトンが王室の名誉に値するかどうかについて疑問の声を投げかけた。
Arise, Sir @LewisHamilton!
The seven-time #F1 champion officially received his Knighthood at Windsor Castle on Wednesday, joined by his mum, Carmen 🥰 pic.twitter.com/7efxn211uR
— Formula 1 (@F1) December 15, 2021
ハミルトンは爵位の授与式には参加したものの、その翌日にパリで開かれたFIA表彰式にはウォルフ共々欠席した。
RaceFansによるとエクレストンは「世界選手権の開催には多くの人々が関わっている。誰もがこのために多くの時間を割いて仕事に取り組み努力している」と述べ、自身の都合を理由にセレモニーに参加しなかった2人を非難した。
「来る努力をすべきだった」
「彼は来れなかったと言い訳しているが誰も信じていないだろう。なぜなら彼は今年の22レース全てに来ていたのだから」
レギュレーションはFIA管轄下のシリーズでランキング上位3位に入ったドライバーに対して、FIA表彰式への参加を義務付けている。
ジャン・トッドに代わり新たにFIA会長に就任したモハメド・ベン・スレイエムは、ハミルトンが欠席した件について調査を行う方針を示し、違反があれば「許される事はない」と指摘した。