マクラーレンF1、70周年記念GPでポール・ディ・レスタをリザーブに指名

ポール・ディ・レスタ、2017年F1ハンガリーGPにてcopyright Glenn Dunbar/Williams

元F1ドライバーのポール・ディ・レスタは第5戦70周年記念GPの週末、マクラーレンF1チームのリザーブドライバーとしての役務を担う。カルロス・サインツかランド・ノリスに不測の事態が発生した場合、代わってシルバーストン・サーキットでのレースに出場する。

先週末のイギリスGPでは、レーシング・ポイントF1チームのセルジオ・ペレスが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の陽性反応を示しパドックへの入場が認められなかった事から、急遽ニコ・ヒュルケンベルグがその代役を務めた。レギュラードライバーが新型肺炎の検査結果で陽性を示す場合に備えて、チームはリザーブオプションを用意する必要がある。

英国ウォーキングのチームは、来季よりパワーユニットの供給を受けるメルセデスAMGとの間で取り決めを行っており、万が一の場合にはシルバーアローのリザーブドライバーを務めるストフェル・バンドーンかエステバン・グティエレスを起用できるが、ここに来て問題が生じた。

バンドーンはドイツ・ベルリンの旧テンペルホーフ空港にて行われるフォーミュラEに参戦するためF1に出走する事はできず、グティエレスはF1出走に必要なFIAスーパーライセンスの取得資格を満たしていない。そのためマクラーレンはディ・レスタを待機させることにした。マクラーレンによるとディ・レスタは5日(水)の朝に、マクラーレン・テクノロジー・センターでシート合わせを行った。

ディ・レスタは2011年にフォース・インディアでF1デビューを果たし、2013年末までシルバーストンを本拠とする中堅チームに所属していた。その後、3年に渡って浪人生活を続けていたものの、フェリペ・マッサ(ウィリアムズ)が体調不良を訴えてハンガリーGPを欠場する事となったため、2017年のハンガロリンクで再びF1マシンのステアリングを握った。フルシーズンの経験は約6年半前の事となりブランクは長い。

ディ・レスタは今も変わらずレーシングドライバーとして活躍しているが、F1においてはSky Sports F1のインタビュアー兼アナリストとして馴染み深い。34歳のイギリス人ドライバーは、史上初となる母国での2連戦でマイクの代わりにステアリングホイールを握る可能性がある。

とは言え、新型肺炎に関するF1と国際自動車連盟(FIA)のプロトコルに従い、必要が生じない限りはレースチームに帯同することはなく、これまで通りSky F1の仕事を継続するという。

マクラーレンはなぜディ・レスタを選んだのだろうか?

理由は明らかにされていないものの、各国の渡航制限や諸状況を鑑みると、そもそも利用可能なドライバー候補自体がかなり限られている。その中でも、突然の代役を務めて活躍できそうなドライバーは更に数が少ない。ヘイロー付きのハイブリッド・ターボ経験者で今季グリッドに並んでいないのはマーカス・エリクソン、セルゲイ・シロトキン、ニコ・ヒュルケンベルグ、ストフェル・バンドーン、ブレンドン・ハートレー、ロバート・クビサの5名のみだ。

F1を去った後のディ・レスタはドイツ・ツーリングカー選手権(DTM)の他、マクラーレンのザク・ブラウンCEOが共同所有するユナイテッド・オートスポーツからFIA世界耐久選手権(WEC)を始めとする耐久レースに参戦している。

F1-70周年記念GP特集

この記事をシェアする

関連記事

モバイルバージョンを終了