ホンダかフェラーリか?キャデラックのF1エンジン交渉先と進捗を明かすマリオ・アンドレッティ

インディアナポリス・モーター・スピードウェイでステアリングを握るマリオ・アンドレッティ、2024年第108回インディ500Courtesy Of Penske Entertainment

キャデラックは完全に白紙の状態からF1プロジェクトを開始するわけではない。アンドレッティ・グローバルは既にシャシーの設計や空力開発を精力的に進めている。2026年からの新規F1参戦に向けた最大の課題はエンジンの調達だ。

英国シルバーストンに構えるサテライトファクトリーでは、ニック・チェスターやジョン・トムリンソンらが率いる約200名の技術チームが、ドイツ・ケルンにあるトヨタの風洞を活用しながら開発を進めている。

ゼネラルモーターズ(GM)はすでに2028年のF1パワーユニット(PU)サプライヤーとしての登録を済ませており、将来的には完全なワークスチームとして参戦する計画を掲げている。しかし、それまでの間は他社製PUを購入する必要がある。

現行のF1レギュレーションでは、PU供給チーム数が最も少ないメーカーが新規参戦チームにPUを供給する義務があるが、この規定は2025年までが対象であり、2026年以降のルールはまだ確定していない。

ただし、大幅な規定変更が行われる可能性は低いため、新規に参戦を開始するアウディやレッドブル・フォード、すでに4チームへの供給が確定しているメルセデスは対象外となることが確実視される。そのため、候補はフェラーリとホンダに絞られる。

ホンダは2026年からアストンマーチンの1チームのみにPUを供給する予定で、GMとはアメリカ国内で燃料電池システムを共同開発するパートナー関係にある。この提携を踏まえれば、両者の協力は自然な流れと見る向きもあるが、現時点でホンダは検討されていない。

かつてのメルセデスにおけるニキ・ラウダのように、取締役という肩書でキャデラックF1チームのアドバイザー的役割を担うマリオ・アンドレッティはNBCニュースに対し、現在、フェラーリと交渉を進めていることを明らかにした。

「まだ確定したわけではないが、それが目標で、それが最優先事項だ」とアンドレッティは語った。

1978年のF1ワールドチャンピオンであるアンドレッティは、1971年、1972年、そして1982年の3シーズンにわたり、フェラーリの赤いシングルシーターをドライブした経験を持つ。

「私自身とフェラーリとの歴史や(エンツォ)フェラーリ氏との関係など、すべてが大きな意味を持っており、多くの理にかなった要因がある。実現すれば、それは最高の組み合わせになるだろう」とアンドレッティは付け加えた。

また、他のエンジンサプライヤーと交渉しているか、あるいは検討しているかと問われると、「現時点ではノーだ」と明確に否定した。

フェラーリは2025年末でザウバーへのPU供給を終了する。この体制を活用すれば、PUだけでなくギアボックスやリアサスペンションを含め、キャデラックに滞りなく供給することが可能と考えられる。

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